市販 SaaS 比1/40以下のコストで会議室の稼働を最適化!Google Cloud のサーバーレス構成を活用した会議室予約システムの内製開発KDDIアイレット株式会社のクラウドを活用した導入事例
掲載日:2026年9月30日
課題
- 社内の会議室予約で、予約されたまま利用されない「空予約」が常態化していた。
- 会議室の実質的な稼働率を把握・改善したいと考えていた。
- 会議が予定より早く終了しても残りの予約時間が開放されず、他の社員が利用可能な仕組みを整えたいと考えていた。
- 急な打ち合わせの際に PC から Google カレンダーを開いて予約する手間があり、よりスムーズな予約手段が求められていた。
- 市販 SaaS の導入を検討したものの、年間数十万円規模のランニングコストが継続的に発生する見込みであった。
対応と結果
- 会議室のドア前に設置した iPad から空室状況の確認・即時予約・入退室操作を完結できる予約システムを開発し、予約にかかる手間を解消。
- 予約に対するチェックイン率を計測可能にし、空予約を定量的に可視化。
- 操作データを BigQuery に蓄積し、Data Studio で可視化する仕組みを整備。
- チェックインのない予約を自動検知・自動キャンセルする仕組みにより、空予約分の会議室を他の社員が利用可能な状態に自動で開放。
- Google カレンダーとの1分間隔での同期を実現し、既存の予約運用をそのまま維持。
KDDIアイレットでは、本社オフィスの会議室における「空予約」の常態化や利用実態の不透明さを解消するため、Google Cloud のサーバーレス構成を活用した会議室予約システムの開発に取り組みました。
本プロジェクトでは、社内の若手エンジニアを中心としたチームが、要件定義から設計・実装・インフラ構築・運用設計まで一気通貫で開発に取り組みました。
「予約で埋まっているのに誰もいない」。会議室運用の課題を解消するため、自社開発を選択
KDDIアイレットでは従来、本社における会議室利用の事前予約を Google カレンダー(リソースカレンダー)で運用していましたが、定例会議を「とりあえず押さえておく」ための繰り返し予約が多く、実際には使われない「空予約」が常態化。社内で「予約は埋まっているのに、会議室に行くと誰もいない」という声がある一方で、実際の稼働率を数値で示すことができず、改善策を講じにくい状況が続いていました。
また、会議が予定より早く終わっても Google カレンダー上の予約はそのまま残るため、空いているはずの時間帯を他の社員が使えないという課題もありました。
そこで、市販の会議室予約 SaaS の導入も検討しましたが、年間数十万円規模のランニングコストが見込まれたことに加え、エンジニアの育成機会としての活用や、将来的な外販への展開を見据え、Google Cloud を活用した内製開発を選択。既存の運用を維持したまま、iPad から会議室の利用状況確認・即時予約・入退室操作ができるシステムの構築に着手しました。
Google カレンダーとの双方向同期と自動キャンセル機能を核に、iPad 端末で「説明書なし」の操作体験を実現
今回のシステムは、Google カレンダーをマスタデータとして維持する設計を採用しています。Cloud Run 上で稼働する Next.js アプリケーションが、1分間隔で Google Calendar API を通じてリソースカレンダーの情報を取得し、Firestore に反映。各会議室ドア前に設置した iPad は Firestore の Snapshot リスナーで状態を購読しており、PC からの予約でも iPad からの操作でも1分間隔の自動同期で最新状態が反映されます。
iPad の端末画面は、空室(緑)・予約済み(青)・使用中(紫)の3状態を色で即座に識別できる設計。即時予約は利用時間を選んで「今すぐ利用」を押す2タップのみで完結し、文字入力は一切不要です。入退室操作はスライド方式を採用し、チェックインは左から右、チェックアウトは右から左と操作方向を分けることで誤タップを防止しています。
また、空予約への対策として、自動検知・自動キャンセル機能を実装しました。予約開始から10分後にチェックインがなければ主催者に チャットツールの DM 機能で通知し、15分経過時点で予約を自動キャンセル。会議室は即座に他の社員が利用可能な状態に戻ります。会議が予定より早く終わった場合は、チェックアウト操作により Google カレンダーの終了時刻が退室時刻に更新され、残り時間がその場で開放されます。
本番運用データを BigQuery 上で分析した結果、現在の利用状況では、約3割が空予約であることが定量的に判明。「行ってみないと分からない」状態から、会議室別・時間帯別にデータで語れる状態へ変化しました。

Data Studio で可視化したダッシュボード
インフラは Cloud Run の scale-to-zero 構成を採用し、バッチ処理の時間帯を限定することで夜間・休日のコストを抑制。Google Calendar API の無料枠や Firestore・BigQuery の無料枠内での運用により、市販 SaaS と比較して、ランニングコストは約1/40以下に圧縮されています。
監視設計においては、1分間隔でバッチが稼働する特性を活かし、一時的なエラーは「次回実行で自動復旧するもの」と定義。アラートは連続失敗や閾値超過に限定する設計とし、7つのアラートポリシーと対応ランブックを整備しました。CI/CD は GitHub Actions と Workload Identity Federation によるキーレス認証で自動化し、インフラは Terraform による IaC で管理しています。
会議室の利用実態の可視化や空予約の自動解消は、オフィス運営の効率化に直結するテーマです。KDDIアイレットでは、Google Cloud のサーバーレス構成を活用し、低コストかつ保守負荷を抑えたシステム構築を実現しています。会議室予約に限らず、Google Workspace と連携した社内 DX や、サーバーレスでの内製開発に関心をお持ちの方は、お気軽にご相談ください。

使用プロダクト
◼︎Google Cloud
・Cloud Run
・Cloud Firestore
・Cloud Scheduler
・Cloud Workflows
・Firebase Authentication
・BigQuery
・Data Studio
・Cloud Monitoring
・Cloud Logging
・Artifact Registry
◼︎その他
・Google Calendar API
・Slack API
・Terraform
・GitHub Actions(Workload Identity Federation)
| 案件名 | 市販 SaaS 比1/40以下のコストで会議室の稼働を最適化!Google Cloud のサーバーレス構成を活用した会議室予約システムの内製開発 |
|---|---|
| クライアント | KDDIアイレット株式会社 |