生成 AI のコラム
COLUMN

Claude でスライド作成!構成案・ Artifacts ・ Marp 活用術を解説

プレゼン資料や提案書を作成するたびに、構成を考えるのに時間がかかりすぎる、あるいは何をどの順番で伝えればよいかわからないという悩みを抱える方は少なくありません。

多くのビジネスパーソンが、資料の構成案を一から考えるために数時間を費やしている、伝えたいことが整理できずにスライドの枚数が増えすぎてしまう、何度も見直して修正するサイクルが終わらないといった課題を抱えています。

本記事では、生成 AI である Claude をスライド作成に活用する方法について、基本的な使い方から Artifacts や Marp との組み合わせ、実務で役立つプロンプトの書き方までを段階的に解説します。 Claude で対応できる範囲と人間が担うべき役割分担を明確にし、明日からの資料作成に活かせる知識を提供します。

Claude でできるスライド作成とは

Claude でスライドを作成すると聞いたとき、ボタン一つで PowerPoint ファイルが完成する、あるいは見た目まで整ったスライドが自動で出力されるといったイメージを持たれることがあります。

しかし、実際の Claude の価値は少し異なる部分にあります。使い始める前に、 Claude がスライド作成において何ができて何ができないかを整理しておくことが、期待値のずれを防ぐための第一歩となります。

Claude の特徴とスライド作成への適性

Claude は、 Anthropic が開発した大規模言語モデルの生成 AI です。 Constitutional AI と呼ばれる安全設計の仕組みを採用しており、倫理的かつ有害性の低い応答を生成することを重視して開発されています。

スライド作成に役立つ Claude の特長は、主に 3 つ挙げられます。

長文処理と論理的一貫性の高さ

Claude Opus 4.6/ Sonnet 4.6は最大1,000,000トークンのコンテキストウィンドウを備えています。長い前提情報や複数の条件を同時に渡しても、論理の軸が崩れにくいという特性があります。プレゼン資料では背景から課題、解決策、そして効果へと至る流れを最後まで一貫させる必要がありますが、複雑な条件を与えても論点がぶれにくい点が使いやすさにつながっています。

参照:Anthropic - Claude Models

抽象から具体への展開力

スライドの構成では、いきなり細かい説明に入るよりも、まず全体メッセージを示してから具体的な説明へと展開する流れが説得力を生みます。 Claude はこの全体像から要点への分解を得意としており、スライド1枚ごとに何を伝えるのかが明確になる構成案を作りやすい特性を持っています。

日本語品質の高さ

自然な敬語表現や適切な助詞の使い分けなど、ビジネスシーンで求められる日本語の品質が高く、生成されたテキストをそのまま資料に転用できる場面が数多くあります。

2026年3月時点で利用できる主なモデルは、最も高性能でエージェント向けとされる Claude Opus 4.6、速度とインテリジェンスのバランスに優れた Claude Sonnet 4.6、高速かつ低コストな Claude Haiku 4.5です。スライド構成の生成においては、 Claude Sonnet 4.6が速度とコストのバランス面で適しています。

参照:Anthropic - Claude Models
参照:Anthropic - Pricing

スライド作成で Claude が活躍するシーン

Claude がスライド作成で最も効果を発揮するのは、見た目を整える作業ではなく、考えをまとめる作業の工程です。プレゼン資料の作成工程を分解すると、おおよそ以下の流れになります。

  1. テーマと目的の設定
  2. 論点の整理と情報収集
  3. スライドの順番と内容を決定する構成設計
  4. 各スライドへのテキストの落とし込み
  5. デザイン調整と仕上げ

この中で最も時間がかかり、かつ属人化しやすいのが構成設計とテキストの落とし込みの部分です。 Claude は、この前半の思考整理プロセスを大幅に高速化できます。

一方で、デザイン調整や仕上げについては、 Claude に直接的な自動化の手段が限られています。フォントや配色、余白の設計、グラフや図の精緻な調整といったデザイン作業は、最終的に人の手で仕上げる前提となります。

Claude ができることと人間が担う部分を明確に整理すると、次のようになります。

作業工程 Claude に任せられること 人間が担う工程
構成設計 論点整理や見出し構成およびスライドの流れの作成 妥当性の確認と方針の判断
テキスト整理 箇条書きや要点抽出および要約 表現の最終調整
図解と可視化 Artifacts を用いた構造図やフロー図のたたき台作成 レイアウトの精緻化とブランドの調整
仕上げ Marp による Markdown からスライドへの変換 デザインや色およびフォントの調整

この役割分担を理解することで、ツールに対する期待外れの体験を避けられます。 Claude は考えを整理する AI として捉えることが、活用の本質です。

他の生成 AI ツールとの違い

ChatGPT をはじめとする他の生成 AI ツールと比較した際、 Claude はスライド構成や論点整理の用途において優位性を持つ場面があります。

OpenAI が提供する ChatGPT はアイデア出しや多様なバリエーションの生成に優れており、短い時間で多くの選択肢を出す用途に向いています。一方で、前提条件が多い構成設計では、論点が散らばりやすい傾向が見られます。

Claude は、最初に与えられた前提や目的を踏まえたまま、スライド構成を最後まで整理し続ける文脈保持能力を備えています。この資料は IT 担当者向けであり、 AWS の導入コスト削減について説明したい、全体を5枚のスライドで構成してほしいといった複数条件の組み合わせでも、最初の指示から逸脱しにくい構成案を生成できます。

用途に応じた使い分けの目安は以下の通りです。

  • スライドの構成案作成や論点整理は Claude が適しています。
  • 多様な表現バリエーションを素早く出力する用途は ChatGPT が適しています。
  • 画像や図のデザイン生成は、各ツールの画像生成機能を用います。

Claude でスライドを作成する基本的な方法

Claude でスライドを作る方法には大きく3つのアプローチがあり、目的に応じて使い分けることで前工程の効率が変わります。

テキストコンテンツとアウトラインの生成

特別な設定や追加のツールを必要とせず、すぐに始められる方法です。 Claude にスライドの構成案、アウトライン、テキストコンテンツを生成させます。

断片的な情報をそのまま渡す手順

スライド構成を検討する際、最初から整った文章を用意する必要はありません。企画のメモ、会議の議事録、思いついた論点を並べただけの箇条書きなど、思考の途中段階にある情報をそのまま Claude に渡す手法が効果的です。

たとえば、次のような入力内容であっても Claude は有用な構成案を生成します。

以下の情報をもとに、5枚のスライドで構成される提案資料のアウトラインを作成してください。
対象: 製造業の IT 担当者
目的: クラウド移行の提案
・現状のオンプレミスサーバーが老朽化している
・保守コストが年々増加
・リモートワークへの対応が課題
・AWS 移行でコスト30 % 削減の見込み(要確認)
・移行期間は約3ヶ月

スライド単位の見出し構成に変換させる手順

箇条書きや断片的な情報を渡した後、それを1スライドにつき1メッセージとなる見出し構成に整理させます。このとき、導入から課題、解決策、そしてまとめへと自然につながっているか、情報の重複や抜け漏れがないかを確認します。構成が固まることで、後工程の作業量は大幅に減少します。

各スライドの要点を整理させる手順

構成案が完成したら、各スライドに記載する要点を整理させます。 Claude に依頼することで、情報を詰め込みすぎず、伝えるべきポイントに絞った箇条書きを作成できます。スライドに記載するキーワードや箇条書きと、口頭で補足する内容を分けるよう指示を出すと、より実用的な結果が得られます。

Artifacts 機能を使った図解と構造整理

Claude の Artifacts 機能は、 Claude.ai の無料プランを含むすべてのプランで利用できる機能であり、有料プランでは利用の上限が拡張されます。テキストの構成案をそのまま視覚的な図として整理するための作業空間として機能します。

Artifacts の役割とスライド作成での活用場面

Artifacts は、完成したスライドそのものを生成する機能ではありません。思考の構造を外部に出力し、編集可能な形で可視化するための補助ツールとして位置づけられます。

スライド作成においては、 AWS 移行の流れや業務改善のステップといったプロセスや手順のフロー図を作成する場面で効果を発揮します。また、システム構成図のたたき台や組織の関係図など、複数の要素間の関係性を整理する際や、課題と施策の対応関係といった論点の因果関係を可視化する際にも役立ちます。

Artifacts が向いている作業と向いていない作業を整理すると、次のようになります。

向いている作業 向いていない作業
フロー図や構造図のたたき台作成 細かなデザイン調整
論点や関係性の可視化 ブランドガイドラインに準拠した仕上げ
構成案の確認と修正 完成形スライドの最終出力

Artifacts 上で整理した図をもとに、 PowerPoint や Google Slides で清書を行うという流れが実務では効率的です。

Artifacts の基本的な使い方

Claude.ai のチャット画面において、提示した構成案をフロー図で可視化するよう指示を出すと、 Artifacts の画面に図が生成されます。生成された図はテキスト形式での出力も可能であるため、 PowerPoint の SmartArt を作成する際の参考として活用できます。

参照:Anthropic - Introduction to Claude

Marp と組み合わせた Markdown スライドの作成

Markdown Presentation Ecosystem の略称である Marp は、 Markdown 形式で記述したテキストをプレゼンスライドに変換できるオープンソースのツールです。エンジニアや技術系のビジネスパーソンを中心に広く利用されており、 Claude との組み合わせが特に効果的です。

参照:Marp 公式ドキュメント

Claude と Marp を組み合わせた基本的な流れ

  1. Claude に対して、Marp 形式の Markdown でスライドを作成するよう指示を出す。
  2. Claude がハイフン3つでスライドを区切り、ハッシュ記号で見出しを設定するといった Marp の記法に対応した Markdown テキストを出力する。
  3. Visual Studio Code の拡張機能である Marp for VS Code を使用し、 Markdown をスライドとして表示およびエクスポートする。

Marp 形式での出力を Claude に依頼する際のプロンプト例は以下の通りです。

以下の内容を Marp 形式の Markdown スライドとして作成してください。
スライド枚数:6枚
テーマ: AWS クラウド移行の提案
対象: 製造業の経営層
Marp のテーマは default を使用してください。

スライドの構成:
1. タイトル
2. 現状の課題
3. AWS 移行のメリット
4. 移行の流れ
5. コスト試算
6. まとめ・次のアクション

Marp 活用のメリット

Marp を利用する最大のメリットは、テキストエディタとバージョン管理システムを用いてスライドを管理できる点にあります。 PowerPoint のようなバイナリファイルとは異なり、変更履歴の追跡やチーム内での差分管理が容易になります。また、テキストベースであるため Claude とのやり取りによる修正がスムーズであり、特定の箇所を簡潔にする指示や箇条書きの追加などを継続的に行いやすい特性があります。

VS Code の Marp 拡張機能を利用すれば、 PDF 形式、 HTML 形式、 PPTX 形式でのエクスポートも可能です。


効果的なプロンプトの書き方

Claude からスライド構成に利用できる実用的な出力を得るためには、プロンプトの書き方が鍵となります。単にスライドを作ってほしいと伝えるだけでは曖昧な結果になりがちです。条件を具体的に提示するほど、目的に沿った構成案が返ってきます。

基本プロンプトの構成要素

スライド作成に用いるプロンプトには、次の4つの要素を含めるのが基本となります。

目的の明示

営業提案書、社内報告資料、セミナー登壇資料など、資料を作成する目的を最初に明示します。目的が明確になることで、 Claude は適切なトーンや構成および情報の深さを判断できるようになります。

ターゲットの指定

製造業の IT 担当者、非エンジニアの経営層、社内の若手社員など、想定される読者を指定します。専門知識の有無や意思決定権の有無によって、説明の粒度や使用する言葉遣いが変化します。

枚数と構成の指定

5枚以内、あるいは10枚構成といったように、スライドの枚数を指定します。枚数を明示しない場合、 Claude が必要以上に多くのスライドを生成する可能性があります。

出力形式の指定

スライドの見出しと箇条書きで出力するよう求める、あるいは Marp 形式の Markdown で出力するよう求めるといった具合に、希望する出力の形式を指定します。

これら4つの要素を組み合わせた基本プロンプトの例を示します。

目的:クラウド移行の提案資料を作成したい。
ターゲット:製造業の経営層(IT の専門知識はあまりない)
枚数:7 枚
出力形式:各スライドの見出しと、箇条書き3点以内の要点を出力してください。

テーマ:オンプレミスから AWS への移行提案
背景:現在のサーバーが老朽化しており、保守コストが年間500万円を超えている。

目的とターゲットおよび構成の明確な伝え方

プレゼン資料の構成には、いくつかの定番のパターンが存在します。 Claude に構成案を依頼する際、こうしたパターンを併せて伝えることで、より意図に近い結果を得られます。

ビジネスでよく使われる構成パターン

  • 課題解決型:現状を提示し、課題を特定したうえで解決策を示し、期待される効果と次のアクションを促す構成です。
  • 情報共有型:今月の実績と前月の比較を示し、課題とその要因を分析して来月の方針を提示する構成です。
  • 提案と承認型:背景と目的を説明し、選択肢の比較を通じて推奨案を提示し、費用とスケジュールをまとめる構成です。

これらのパターンをプロンプトに組み込むことで、 Claude は一連の流れを意識した構成案を作りやすくなります。

以下の構成パターンを使って、AWS 移行提案のスライドアウトラインを作成してください。
構成パターン: 背景から課題、解決策、期待効果、次のアクションの順に展開する。
スライド枚数: 各フェーズ1〜2 枚ずつ
ターゲット: 経営層(非エンジニア向けのため、専門用語には補足説明を入れる)

業務別の活用例

営業提案資料の場合は、顧客の課題を起点としたストーリー構成を意識するプロンプトが効果的です。社内プレゼンでは、なぜその方針を採用するのかという根拠を丁寧に提示する構成が求められます。セミナーや研修の資料では、受講者が得られる学びと行動の変化を明確にした構成が有効です。

デザインや見た目の指示方法

Claude に対して見た目のデザインをすべて委ねることはできませんが、構成の方針については具体的な指示を出すことが効果的です。

見た目に関する指示のポイント

以下のような指示をプロンプトに含めることで、より実用的なアウトプットを引き出せます。

1つのスライドに 1つのメッセージを配置するよう、各スライドで伝えるべきメッセージを1文で設定するよう指示を出します。また、情報量を制限して可読性を高めるために、各スライドの箇条書きは3点以内にする、あるいは各箇条書きの文字数を20文字以内に収めるといった粒度の指定を行います。

図表の挿入意図を伝えることも有効です。特定のスライドに移行フローを示す図をテキストベースの構造で含めるよう指示するなど、図を挿入する位置とその目的を合わせて伝達します。

資料のトーンについては、フォーマルなビジネス向けの文章で作成するよう求める、あるいは受講者が親しみやすい口語調で作成するよう求めるなど、雰囲気を指定することが可能です。

さらに、 Claude に構成案を作成させた後、情報量が多いスライドを2枚に分割する案を尋ねたり、メッセージをよりシンプルに言い換えるよう求めたりするなど、対話を通じて修正を進めるアプローチが実務では効果を発揮します。


PowerPoint や Google Slides との連携活用術

Claude でコンテンツを整理した後は、 PowerPoint や Google Slides に取り込んで最終的な仕上げを行います。 Claude が構成設計やテキスト生成といった前工程を担い、スライド作成ツールが清書と仕上げを担うというフローになります。

なお、2026年3月時点において、 Claude のすべての有料プランで Claude for PowerPoint のベータ版(Research preview)が提供されています。このアドインを利用すると、既存のスライドテンプレートやブランドガイドラインを読み込んだうえでスライドを生成・編集できるため、前述の「デザイン調整は人間が担う」工程の一部も Claude に任せられるようになりつつあります。ベータ版のため機能や動作は今後変更される可能性がありますが、PowerPoint 上で直接 Claude と対話しながらスライドを作成・修正できる点は、ワークフローの大幅な効率化につながります。

参照:Claude for PowerPoint
参照:Anthropic - Pricing

作成コンテンツを PowerPoint に取り込む方法

Claude が生成したスライドの構成やテキストコンテンツを PowerPoint に取り込む際、主に2つの手法が存在します。

テキストを直接貼り付ける手法

Claude が出力した各スライドの見出しや箇条書きを、 PowerPoint のスライドに直接コピーして貼り付ける手法です。シンプルであり、すぐに実践できる方法です。

  1. Claude から出力された構成案をコピーする
  2. PowerPoint を起動し、新しいスライドを作成する
  3. 各スライドに見出しと本文を貼り付ける
  4. フォントや色およびレイアウトを社内のテンプレートに合わせて調整する

アウトライン機能を活用する手法

PowerPoint に備わっているアウトライン表示の機能を活用し、テキストベースでスライドの内容を一括管理する手法です。 Claude が出力したアウトラインをこのビューに貼り付けることで、複数のスライドへの展開を効率的に実行できます。

  1. PowerPoint の表示タブからアウトライン表示を選択する
  2. Claude が出力した見出しと本文のテキストをアウトラインビューに貼り付ける
  3. インデントを調整して見出しの階層構造を整える
  4. 標準の表示モードに戻り、全体のデザインを調整する

最終調整は人間が担う工程

Claude を用いて前工程を完了させた後の PowerPoint 上での作業は、清書に近い内容となります。ブランドカラーの適用、フォントの統一、図表の視認性の向上、グラフの挿入など、最終的な品質を決定づける部分は人間の判断に委ねられます。
コンテンツの整備を Claude で行い、デザインの調整に集中できる状態を作り出すことで、全体の作業時間が大幅に短縮されます。

Google Slides を使ったスライド作成フロー

Google Workspace を利用している組織においては、 Google Slides との連携が有力な選択肢となります。 Claude と Google Slides を組み合わせる基本的なフローは以下の通りです。

Google Slides での活用フロー

  1. Claude を利用してスライドの構成案とテキストを生成する
  2. Google Slides で新規のプレゼンテーションを作成するか、既存のテンプレートを開く
  3. Claude が生成したテキストをスライドの該当する箇所に貼り付ける
  4. スライドマスタで設定されているテンプレートのフォントや色を確認し、必要に応じて調整する
  5. 補足となる図やグラフおよび画像を追加する

Google Slides の共同編集との組み合わせ

Google Slides の特長である複数人での同時編集機能やコメント機能を活用します。 Claude で生成した構成案を Google Slides に貼り付けた状態で共有し、スライドの流れや表現の適切さについてチーム内でレビューを行うフローは、資料の品質向上に直結します。

構成設計とテキスト生成を Claude で行い、 Google Slides に取り込んでチームレビューと修正を経て完成させるというサイクルを確立することで、繰り返し発生する資料作成業務を効率化できます。

参照:Google Workspace - Google スライド


スライド品質を高める実践的なポイント

Claude によってスライド構成やテキスト生成を効率化できたとしても、完成する資料の品質は運用方法によって左右されます。情報の正確性の確認、プロンプトの継続的な改善、組織への展開という3つの視点を押さえておくことが推奨されます。

情報の正確性を確認する方法

Claude は流暢なテキストを生成しますが、ハルシネーションと呼ばれる誤情報の生成により、事実と異なる内容が含まれるケースがあります。数値、サービスの仕様、法令など、ビジネス資料として扱う情報は Claude の出力を鵜呑みにせず、必ず公式の情報源で確認を行います。

チェックすべき情報の種類としては、コスト削減率などの具体的な数値や割合、 AWS や Google Cloud および Anthropic のサービス仕様と料金体系、法令や業界規制およびセキュリティ基準への言及、企業の公式発表に基づく情報などが挙げられます。

公式情報源での確認

情報の確認は、信頼できる公式サイトにおいて実施します。

  • AWS のサービスや料金については AWS 公式サイトを参照する
  • Google Cloud のサービスや料金については Google Cloud 公式サイトを参照する
  • Anthropic の Claude に関連する情報は Anthropic 公式サイトを参照する

参照:AWS 公式サイト
参照:Google Cloud 公式サイト
参照:Anthropic 公式サイト

情報検証の役割分担

Claude を活用するうえでの基本的な役割分担は、 Claude がたたき台を作成し、人間がその内容を検証して精緻化するという形になります。生成されたコンテンツをそのまま利用するのではなく、主張の根拠となる数値や事実は必ず公式の情報源で裏付けを取ったうえで資料を完成させることが求められます。

継続的な改善とプロンプトの磨き方

Claude をスライド作成に活用するプロセスは、継続して利用するほど精度が向上します。一度試して終了するのではなく、プロンプトを少しずつ改善していくことが定着に向けたコツとなります。

フィードバックを活用したプロンプト改善

Claude との対話を通じて、生成された出力に対して直接フィードバックを与えることが可能です。特定のスライドの説明が長すぎるため要約を求める、専門用語が多いため経営層向けに平易な言葉に変更するよう指示する、スライド間のつながりが唐突な箇所を修正するよう求めるといった具合です。
このような具体的なフィードバックを加えることで、 Claude は出力内容を洗練させていきます。

プロンプトのテンプレート化と再利用

精度の高いプロンプトが作成できた場合は、それをテンプレートとして保存し、次回以降の資料作成時に再利用することが推奨されます。定期的に作成する報告資料や、繰り返し利用する提案資料のフォーマットをプロンプトとして整備しておくことで、毎回プロンプトを設計する時間を削減できます。

たとえば、月次報告資料のアウトラインを作成するためのターゲット、構成パターン、枚数、出力形式を定義したプロンプトテンプレートを社内で共有することで、誰が利用しても一定の品質で構成案が得られる仕組みを構築できます。

試行錯誤のサイクルを資産にする

プロンプトを改善していくサイクルは、最終的に組織全体のナレッジ資産となります。効果的であったプロンプトとその結果を記録して共有することで、チーム全体の活用水準が底上げされます。精度の低かった回答を分析して改善ポイントを特定する取り組みが、長期的な業務品質の向上に寄与します。

組織やチームへの展開方法

個人での活用が定着してきた後は、組織全体への展開を検討する段階に入ります。スライド作成は多くのビジネスパーソンに共通する業務であるため、生成 AI 活用の初期の取り組みとして展開しやすい領域です。

小規模な導入からのスタート

生成 AI を組織に展開する際は、一度に全社へ導入するのではなく、特定の業務や部署から小規模に開始することで、リスクを抑えながら効果を検証できます。
月次報告資料の構成案作成から着手し、 Claude を利用した場合とそうでない場合での作業時間の変化を検証します。効果が確認できた段階で、提案資料や研修資料など他の業務へと段階的に適用範囲を広げます。
このアプローチは、生成 AI 導入における概念実証から本格展開へと至るステップと同様であり、成功事例を積み上げながら進めることで組織の理解を得やすくなります。

構成の共通言語を確立する

Claude を組織で活用する際の課題として、作成者によって資料の品質にばらつきが生じることが挙げられます。これはツールの問題ではなく、スライド構成における思考の型が統一されていないことに起因します。

背景から課題、解決策、効果へと至る構成や、現状の把握から問題の特定、対策の提示、行動の促進へと至る構成パターンを組織内の共通言語として定義し、それを Claude へのプロンプトテンプレートに落とし込むことで、品質の均一化を図れます。

情報セキュリティの運用ルールを整備する

Claude を業務で利用するにあたり、社内の機密情報、個人情報、未公開情報の取り扱いに関して、組織としてのルールを明確化することが前提となります。
外部のサービスである Claude.ai には社内機密情報を入力せず、公開済みの情報や一般的な業務情報に留めるといった方針を定めることが、安全な運用の基盤となります。

法人向けのセキュアな活用方法として、 Amazon Bedrock を経由して Claude モデルを利用する構成が存在します。 Amazon Bedrock では、企業のデータが AI サービスの学習に利用されない設定が可能であるため、データガバナンスを維持したまま Claude を業務に組み込むことができます。

参照:Amazon Bedrock | AWS 公式


まとめ

本記事では、 Claude を利用したスライド作成の方法について、テキストベースの構成生成から Artifacts や Marp との連携、実用的なプロンプトの設計、および PowerPoint や Google Slides での最終的な仕上げに至る一連のフローを解説しました。

Claude はスライドのデザインまでを自動で完成させる AI ではなく、作成の前工程である構成設計や論点整理、テキストの生成を高速化するための AI です。この役割を正確に認識したうえで活用することで、資料作成にかかる時間を短縮しつつ、品質の高いスライドを構築することが可能になります。

まずは日常的に作成する頻度の高い資料を一つ選び、本記事のプロンプト例を参考にして構成案を作成するプロセスから試してみることを推奨します。初期段階から完璧を目指すのではなく、運用しながらプロンプトを調整していくことが、業務への定着に向けた近道となります。

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