商品情報をデータベース化し、AI 検索・出力までをアプリケーション化。分散データの一元管理と横断活用を実現株式会社ラクト・ジャパン様のクラウドを活用した導入事例
https://www.lactojapan.com/ja/
掲載日:2026年3月5日
お客様の課題
海外の食品製造者から提供される輸入品の商品情報は、フォーマットが統一されておらず言語も多岐にわたる上、個別の情報が複数回に分けて提供されることもあり、商品に関するファイル数が膨大となって一元的な情報管理が困難であった。
そのため、以下の課題があった。
- 最新の情報へのアクセスに時間がかかる
- 国内販売先フォーマットの規格書への入力に多くの工数を要する
- 営業部門からの問い合わせに対する即時回答が難しい
- 商品情報の横断的な活用ができていない
対応と結果
- 商品情報をデータベース化し、商品情報の検索性向上および可視化を実現。
- 入力されたデータを活用するための Web アプリケーション(商品検索・PDF 規格書出力・RAG チャットボット)を構築。
- IIJ-ID 認証によるセキュアなアクセス制御、BigQuery を基盤とした商品データ検索、UX 改善による画面最適化など、データ活用と業務効率化を包括的に支援した。
株式会社ラクト・ジャパン様は、AI を活用した商品情報のデータベース化と Web アプリケーションを導入し、品質情報の管理・検索・出力にかかる工数を大幅に削減。商品規格書作成業務において、1件あたりの対応時間を約2時間から約30分へ大幅に短縮できる体制を構築しています。本システムの開発をアイレットが担当いたしました。
海外の食品製造者ごとに言語やフォーマットが異なる規格書情報を、自社や販売先の規格書に手作業で入力。作業コストの増大が課題に
株式会社ラクト・ジャパン様(以下、ラクト・ジャパン様)は、「世界を食で繋ぎ、人々を健康に、そして笑顔にする」をパーパスに掲げ、乳原料、チーズをはじめとする食品原料の輸入、販売、代理・仲介を中心に事業展開しています。同社は乳原料など健康的な食生活に不可欠な食品原料を日本市場に安定供給するだけでなく、仕入先と販売先を公平・公正につなぐフェアな姿勢を創業当時からの大切な考え方としており、相互に適正かつ有益な取引を実現することを目指しています。
ラクト・ジャパン様は海外から食品を輸入し、販売するにあたり、海外の食品製造者から取得した商品情報を用いて、自社フォーマットの商品規格書や販売先フォーマットの規格書に入力しています。しかし、海外の食品製造者から提供される輸入品の商品情報は統一されたフォーマットでなく、また言語も多岐にわたっていることや、複数回に分けて個別に提供される情報もあることから、データを一元管理することが難しく、また商品情報を横断的に活用できていませんでした。さらに、営業担当者から商品に関する問い合わせがあった際は、その都度、フォルダに保存されている膨大な情報から最新の情報を調べる必要がありました。
こうした課題を解決するため、ラクト・ジャパン様からアイレットに対し、商品情報のデータベース化と生成 AI を見据えた業務 DX の推進をご相談いただきました。アイレットは一度に大規模な AI 導入を行なうのではなく、ステップ1(データ基盤構築)、ステップ2(アプリ実装・AI 活用拡張)と段階的に生成 AI の活用範囲を広げる進め方をご提案しました。
データベースを軸に情報管理・検索・PDF 出力・AI チャットまで統合した業務アプリへ発展
まず第1ステップとして、商品情報を一元的に取り扱うためにデータベースを構築しました。
商品情報のデータベース化にあたっては、各項目の棚卸しと設計を実施し、最終的に150項目以上に及ぶ情報を取り扱える構成に。日常的な運用のしやすさを重視し、Google スプレッドシートでの入力・登録方式を採用すると共に、アップロード容量の制約を解消するため Google Forms と Cloud Run を連携させた独自のデータ登録フローを整備しました。
ステップ2では、このデータベースを活用した Web アプリケーションを新たに開発。品質アセスメント部・営業部門の双方で活用される“業務のハブ”となるよう、複数の機能が統合されています。例えば、Google Cloud の Vertex AI Search を活用した自然言語による商品検索機能では、商品 ID や項目名を正確に把握していなくても、「卵を含む商品を教えて」といった自由な問い合わせに対し、AI が類推して関連情報を提示します。スコア付きでの結果表示には対応していないため、ラクト・ジャパン様との合意のもと、あらかじめ検索結果を上位20件に絞る仕様としています。
加えて、商品データをもとにラクト・ジャパン様独自の規格書フォーマットで PDF を出力できる機能も実装。項目の選択やレイアウト調整が可能な UI 設計により、品質アセスメント部門・営業部門のどちらの立場でも扱いやすい帳票出力を実現しています。帳票生成はすべてブラウザ上で動的に描画され、印刷時に最適な CSS が適用されることで、紙の資料としても読みやすい形で出力されます。
さらに、BigQuery に蓄積された商品データおよび関連文書群をもとにした RAG チャットボットも提供。商品情報や法令情報に関する問い合わせにも、自然言語で対応できる環境を整えました。商品情報の横断的な活用ができるようになったことに加え、社内の誰しもがチャットボットを介して必要な情報を得ることができるようになったため、社内からの問い合わせ対応の工数削減も期待されます。
今回のアプリケーションでは、IIJ-ID と連携したシングルサインオンによる認証を採用。社内の各部門からセキュアにアクセスできるだけでなく、ユーザーごとの利用履歴やログ管理も可能となり、運用管理の負担軽減にも寄与しています。さらに、200〜300項目にのぼる商品情報を扱う UI についても、専門のデザイナーが参画し、項目ごとのパネル分割や表示条件の最適化など、直感的な操作性を追求しました。

画面イメージ
商品情報の詳細画面では、商品ごとに表示される項目数が膨大であり、かつ内容や構成も異なるという特性がありました。そこで、情報の見やすさを最優先に、UI/UX の設計を実施しました。誰でも直感的に操作できるよう、ChatGPT など日常的に使い慣れている対話型 UI に寄せた設計を採用し、プロダクト全体でトーン&マナーやコンポーネントを統一しています。
また、画面構成はシンプルな表形式を基本とし、表示パターンを極力絞ることで、情報量が多い中でも視認性を確保。さらに、項目を分類ごとに整理し、見出し単位でアコーディオン開閉できる UI を採用することで、必要な情報だけを段階的に確認できる設計としました。
現在、すでに品質アセスメント部での本格運用が開始されており、1商品あたり約30〜40ファイルに及ぶ情報を収集・集約していた作業が、データベースによる一元管理により大幅に効率化されました。その結果、従来は1書類あたり約2時間を要していた作業が、現在では約30分程度まで短縮されています。今後は営業部門への展開も予定されており、さらなる効率化および生産性の向上が図られることが期待されています。
また、情報のデータベース化により整理されたことで、コピーや再利用が容易になり、作業の標準化が進みました。さらに、外国語資料を都度人の手で翻訳していた従来の運用と比べ、表現のばらつきや、誤字脱字、記載内容の誤りといったヒューマンエラーも大幅に削減され、販売先に提出する規格書の精度向上にも寄与しています。
今後は、生成 AI による規格書の自動チェックなど、さらなる機能拡張も視野に入れており、情報集約と業務効率化を支える基盤としての進化が期待されています。
生成 AI 活用に興味のある方や、導入方法に悩まれている方は、生成 AI を活用したお客様の課題解決や価値創造に知見・ノウハウを持つアイレットまで、ぜひお気軽にお問い合わせください。
システム構成図

使用プロダクト
◾️Google Workspace
・Google Forms
・Google Drive
・Google Sheets
・Apps Script
◾️Google Cloud
・Vertex AI
・Cloud Run
・Cloud Storage
・BigQuery
・Firebase Hosting
・Firebase Authentication
・Firebase Cloud Firestore
| 案件名 | 商品情報をデータベース化し、AI 検索・出力までをアプリケーション化。分散データの一元管理と横断活用を実現 |
|---|---|
| クライアント | 株式会社ラクト・ジャパン様 |