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工場 IoT の先進事例!AWS の新サービスを活用し、機械の稼働状況をリアルタイムで可視化三菱マテリアル株式会社様のクラウドを活用した導入事例

工場 IoT の先進事例!AWS の新サービスを活用し、機械の稼働状況をリアルタイムで可視化

掲載日:2022年8月3日

データ取得のスピードと精度を高め、より質の高い意思決定に役立てたい

大手非鉄金属メーカーの三菱マテリアル株式会社様(以下、三菱マテリアル様)は、ユニークな技術を強みに非鉄金属素材や付加価値の高い機能材料・製品をグローバル展開するほか、高度なリサイクル技術や地熱等再生可能エネルギーの開発を通して、持続可能な社会への貢献を目指しています。

ものづくりの源泉となる国内工場では、IoT を活用した生産性向上にも積極的に取り組まれており、機械の稼働データを取得して課題点の抽出や改善点の提案につなげる施策にも注力されていました。

しかし、当時は国内の工場からアップロードされるデータに1日程度のタイムラグがあり、データの精度も十分ではなかったため、正確なデータをリアルタイムに取得するシステムを構築することで、より高度な改善や意思決定に役立てたいとお考えでした。

また、工場の機械は今後も増加することが見込まれるため、将来的な拡張性も考慮したシステムを開発する必要がありました。

AWS の新サービス「IoT SiteWise」の活用に挑戦

クライアント様のご要望を詳しくお聞きした上で、アイレットがご提案したのは「AWS を活用したリアルタイムでのデータ可視化」と「内製化支援」です。AWS に関しては、クライアント様の情報システム部門で既に AWS の有効活用やセキュリティ担保を積極的に推進していたため、事業部でも AWS を導入することが望ましいと考えました。それから、今後機械の台数が増加した際の対応をクライアント様が主導できるように、内製化をサポートすることも重要なポイントの一つでした。

プロジェクトは順調にスタートしましたが、肝心の「リアルタイムでのデータ可視化」の部分で大きな問題が発生します。工場側の機械の対応方法を調査・検討すると、当初は PLC のデータを CSV 出力し、FTP で転送するという方法を検討しましたが、機械ごとに転送フォーマットが異なることに加え、それぞれ専用の転送処理を構築する負荷が大きいことが分かりました。
また、モニタリングの先には機械制御の展開を検討しており、FTP 方式は双方向通信には向かないと判断しました。
そこで当社が着目したのは、当時はまだβ版だった AWS の新サービス「IoT SiteWise」です。IoT SiteWiseであれば、インダストリー4.0やスマートファクトリーを実現する規格として世界的な注目を集める国際標準規格「OPC UA」での接続が可能になり、ネットワーク化した機械でデータ整形することなくリアルタイムかつ双方向に PLC の内部値をクラウドと同期できる可能性があります。しかし、当時はまだ IoT SiteWise を活用した先行事例がほとんどなかったため、仕様の調査や検証を行いながらプロジェクトを進行しました。

このように、様々な制約や条件に応じて柔軟に仕様や設計を調整しながらシステムを構築し、最終的には IoT SiteWise による OPC UA での接続に成功。機械や工場の状況に合わせて一部 FTP や S3 も使うなどしながら、正確なデータのリアルタイム可視化を実現しました。

きめ細かなオンボーディングで、内製化支援を推進

機械の稼働データは取得・可視化して終わりではなく、クライアント様が課題発見や意思決定に役立てられる状態にまで導くことが重要です。そこで、普段利用されている BI ツールでデータ可視化が行えるように、データストレージでのコンテキスト化や BI 用インターフェースのモデリングをアイレットで担当いたしました。

また、情報システム部門と事業部をつなぐ役割としてコミュニケーションをサポート。情報システム部門が求める AWS の活用方法を事業部向けにご説明したり、機能の使い方などをオンボーディングすることで、プロジェクトを成功に導くための内製化支援を行いました。

もう一つ、設計にあたって重視したのがセキュリティ面です。一般的に工場は外部からのサイバー攻撃に晒されるリスクが高いため、できる限り外部ネットワークを遮断した状態を構築することが望ましいとされています。そこで今回のシステム構築においても、インターネットにつなげずに直接 AWS に工場のデータを送る構成を採用し、工場のセキュリティにも十分に配慮いたしました。

最新の工場 IoT 化が、ビジネス成長を加速させる!

今回のシステムを実装した工場では、IoT SiteWise と OPCUA を利用することでネットワーク化された機械がクラウドシステムへプラグイン接続することを可能とし、ほぼリアルタイムで機械の稼働データをモニタリングできるようになり、データの精度も飛躍的に向上。クライアント様が活用している BI ツールにデータを取り込むことで、よりスピーディに質の高い意思決定が行えるようになりました。

その結果、機械の稼働率に合わせて人材配置を最適化するといった生産性向上はもちろんのこと、稼働状況のリアルタイム確認による安全性の向上、可視化したデータを現場のメンバーに共有することで一人一人の意識が高まるなど、様々な効果が生まれているそうです。

IoT SiteWise の活用は国内初と言ってもいいほど新しいチャレンジでしたが、クライアント様のビジネス成長に少しでも寄与できたことを嬉しく思っています。今後も新しい技術を積極的に取り入れながら、クライアント様のさらなるビジネスの発展に貢献してまいります。

システム構成図

【AWS IoT SiteWise】
産業機器からデータを大規模に収集、モデル化、分析、視覚化できるマネージドサービス。ローカルゲートウェイを使用して工場の設備データを迅速に AWS に取り込み、そのデータを構造化してラベルを付けるとともに、リアルタイムの KPI とメトリクスを生成する。これにより、産業機器全体のモニタリングが容易になり、エラーや製品の欠陥、非効率なプロセスなどを特定するなど、データに基づいた意思決定が可能になる。

 

案件名 工場 IoT の先進事例!AWS の新サービスを活用し、機械の稼働状況をリアルタイムで可視化
クライアント 三菱マテリアル株式会社様

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