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AI 画像解析アプリで工場での多品種・大量の部品の計数作業を自動化!PoC から実用化までをスピーディに実現三菱マテリアル株式会社様のクラウドを活用した導入事例

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AI 画像解析アプリで工場での多品種・大量の部品の計数作業を自動化!PoC から実用化までをスピーディに実現

掲載日:2025年6月24日

お客様の課題

  • 工場での大量の部品の計数作業が人手に依存しており、工数・安定した正確性・負担感に課題があった。
  • 複数工程にまたがる計数結果のエビデンス保存が必要であった。

対応と結果

  • AWS サーバーレスアーキテクチャを構築し、YOLO を活用した AI 画像解析アプリケーションを開発。リアルタイムな部品計数の高速化とデータ保存を実現。
  • 月あたり3人日分の工数削減を達成。高精度な計数処理により現場の作業効率の向上に貢献。

三菱マテリアル株式会社様は、工場における部品の計数作業を効率化すべく AI 画像解析アプリケーションを開発。大量の部品をスピーディかつ高精度にカウントする仕組みを構築し、現場の作業負荷を軽減しました。本プロジェクトをアイレットがワンストップで支援しました。

人手による部品の計数作業の負荷を軽減させ、生産性向上を目的とした画像解析 AI アプリ開発

三菱マテリアル株式会社様(以下、三菱マテリアル様)は、非鉄金属の製錬・加工をはじめ、電子材料、自動車部品、資源リサイクルといった幅広い分野で事業を展開するメーカーです。素材の開発から製品加工、さらにはリサイクルに至るまでのバリューチェーンを垂直統合しており、循環型社会の実現を目指したサステナブル経営を推進しています。さらに、グローバル市場においても高い技術力と品質で信頼を集めるリーディングカンパニーとして、社会課題の解決に寄与しています。

近年、三菱マテリアル様の工場ではデータやテクノロジーを活用した生産性向上に注力しています。その中で、研磨用ドリルやインサート部品など、膨大な部品の計数作業が人手に頼って行なわれていることが課題に挙げられていました。計数作業は工数や精神的な負荷が発生し、数え間違いのリスクも発生します。また、作業のたびにエビデンスとして画像を記録・保存する必要があり、複数の工程をまたぐ管理作業も発生します。こうした課題を背景に、AI とクラウドの力で現場を効率化する仕組みが求められており、開発パートナーとしてアイレットがクラウドアーキテクチャの設計・構築、AI モデルの開発・チューニング、アプリケーション開発までワンストップで支援させていただきました。

PoC 段階から実用化を見据えたアーキテクチャを構築。運用コストやスピード感も考慮しながら、インフラから AI モデル構築、アプリ開発までをワンストップで支援

アイレットは、三菱マテリアル様が抱える現場課題に対し、画像認識 AI を核とした業務支援アプリケーションの設計・開発を実施しました。Amazon SageMaker と YOLO を用いた物体検出モデルを構築し、React 製のシングルページアプリケーション(SPA)を介して、撮影・分類・計数・保存を一貫して行なえるユーザーインターフェースを実装しました。

アーキテクチャは AWS 環境で構築し、Amazon API Gateway、AWS Lambda、Amazon DynamoDB、Amazon S3、Amazon Cognito などのプロダクトを活用。ユーザー認証には Amazon Cognito と三菱マテリアル様の既存の ID 管理システムとをマルチクラウドで接続可能にし、安全な環境を整備しました。

AI モデル構築においては、特定のビジネスドメインに特化した AI モデル開発には現場の知見が不可欠であるため、開発初期からお客様と密なコミュニケーションをとりながら進行しました。お客様の工場を訪問し計数作業を見学・ヒアリングした上で、現場の作業実態に即した条件設定を行ないながら、対象部品ごとに30〜40枚の画像をもとに訓練データを収集。データのラベリングも含めたデータエンジニアリングとデータ分析、チューニングを繰り返すことで AI モデルの検出精度を高めることができました。

工場での部品計上のイメージ
(工場での部品計上のイメージ)

また、Amazon SageMaker Pipelines や AWS CloudFormation を活用し、モデルの自動デプロイ体制を構築。インフラ構築、AI モデルのチューニング、アプリケーション開発までワンストップ対応することで、スピード感と柔軟性を兼ね備えた開発体制を実現しました。

完成したアプリケーションでは、作業者が部品種別を選択し撮影するだけで、自動的に計数とデータ保存が実行されます。たとえばネジやドリル、カード、ケースなど、さまざまな部品の検出・計数に対応しています。

お客様からは精度とレスポンス速度のバランスについて高評価をいただいており、現場では月あたり約3人日分の工数削減を実現。多品種・多工程にわたる計数作業の省力化に大きく貢献しています。また、現在もお客様と継続的なモデル改善とチューニングに取り組んでいます。

本プロジェクトは PoC(概念実証)にとどまらず、実業務での課題解決に寄与した事例の一つです。アイレットは単なる技術検証に終わらせることなく、本番活用を前提とした設計・構築・データ設計・運用計画までを見据えた提案が可能です。お客様の業務フローにしっかりと寄り添いながら、クラウドネイティブなアーキテクチャと AI 技術を融合し、業務効率化や品質向上につなげます。現場の課題解決に貢献する AI 活用をお考えの企業様は、ぜひお気軽にご相談ください。

システム構成図

三菱マテリアル株式会社 システム構成図

使用プロダクト

◾️AWS
 ・AWS WAF
 ・Amazon CloudFront
 ・Amazon S3
 ・Amazon Cognito
 ・Amazon API Gateway
 ・AWS Lambda
 ・Amazon DynamoDB
 ・Amazon SageMaker
◾️React

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案件名 AI 画像解析アプリで工場での多品種・大量の部品の計数作業を自動化!PoC から実用化までをスピーディに実現
クライアント 三菱マテリアル株式会社様

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