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生成 AI 活用による業務効率化を PoC で模索。正答率5割から8割へ改善し、社内横断ワーキンググループを全社展開!加賀FEI株式会社様のクラウドを活用した導入事例

生成 AI 活用による業務効率化を PoC で模索。正答率5割から8割へ改善し、社内横断ワーキンググループを全社展開!

掲載日:2025年7月17日

加賀FEI 様の生成 AI 活用による業務効率化に向けた PoC を支援。わずか3ヶ月で実用レベルまで達成

電子デバイス製品の設計・開発および販売を行なう加賀FEI株式会社(以下、加賀FEI 様)は、ユーザー体験を第一に、満足度の高いソフトウェアやサービスを提供する UI/UXソリューション事業における業務効率化の課題解決を目指し、2025年1月から生成 AI を活用した RAG 環境の構築に取り組みました。アイレットは、Google Cloud のパートナー企業として、Vertex AI Search による社内ナレッジの検索精度をさらに向上させるための RAG システムを構築し、非構造化・構造化データ双方にそれぞれ対応した解析精度の調整など、精度検証までを支援しました。

今回実施した PoC(概念実証)について、UI/UX事業部の西方様、大竹様、山口様、ソリューション推進部の齋藤様にお話を伺いました。

お客様の課題

  • マニュアル参照で解決可能な質問も直接開発者に問い合わせがきており、生成 AI を利用して対応に必要な人的リソースの削減を行ないたいと考えていた。
  • 技術者の高齢化や離職のリスクに対して、技術継承をどうするか悩んでいた。
  • 生成 AI の利活用を進めたいが、具体的にどうやって進めたらいいか分からなかった。

対応と結果

  • PoC にも関わらず、わずか3ヶ月でバージョン8に至るまで改良を重ねた結果、実用レベルの精度まで向上した。
  • 今回のプロジェクトの成功により、生成 AI 活用への全社的な期待が高まった。
  • PoC 完了後には報告会を実施。社内役員層への成果共有と生成 AI の理解促進を実現した。
  • 生成 AI の専門部署の立ち上げに繋がり、今回の取り組みが他部門へも展開された。

ビジネス課題や業務効率改善に向けた課題を生成 AI で解決したい

今後のビジネスにおいて生成 AI の活用は避けて通れない技術であるという認識から、生成 AI をビジネスに活用できないのか、また業務改善に活用はできないのかと模索。生成 AI を利用していくための PoC をアイレットが支援いたしました。

加賀FEIご担当者様01
UI/UX事業部
西方 誠 様

「ChatGPT が有名になってきた辺りから、社内で生成 AI を活用していくことについて、ビジネス的な側面でも業務的な側面でも議論がありました。例えば、生成 AI でどういうことができるのか、どう活用できるのか、どういう取り組みをしていけばいいのかといった点に試行錯誤していました。」(西方様)

「技術者の高齢化や、技術に興味を持つ若年層が減少していく中で、技術の教育など、生成 AI に頼って自動化できる部分は、やはり自動化していきたいとの思いでした。」(山口様)

Google Cloud パートナー企業としての実績とワンストップサービスを評価し、アイレットを選定

生成 AI 活用の PoC 実施に向けて複数のベンダーを比較検討される中、アイレットの Google Cloud パートナー企業としての実績と技術力、そしてワンストップでのサービス提供力からアイレットを選定いただきました。

加賀FEIご担当者様02
UI/UX事業部
大竹 將史 様

「元々は、Google さんから生成 AI についての実績がある会社として紹介いただきました。複数社ご紹介いただいた中で比較して、やはりアイレットの実績が選定の理由となりました。また、Google Cloud のパートナーとしてワンストップでサービスを提供できる点も決め手の1つでした。」(齋藤様)

「キックオフで初めてアイレットと会話した際から、(今回のプロジェクトの)成果として良いものが出てくるのかなといった期待を感じていました。」(山口様)

「アイレットには幅広い要望の中から、徐々にテーマを絞り込み、具体的な提案として固めていただきました。」(大竹様)

Gemini2.0の登場と、データ構造の見直しがブレイクスルーのきっかけに。バージョン8で劇的な精度向上を実現!

プロジェクト当初は、生成 AI の特性であるハルシネーションが大きな障壁となりました。技術製品の専門的な情報を扱う以上、不正確な回答は業務に支障をきたすため、正確性の確保が最重要課題でした。そこで、定期的な打ち合わせを通じて改善を重ね、生成 AI のブラックボックス化された部分に対して、あらゆる方向性を模索し続けた結果、3ヶ月という短期間の中でバージョンは8にまで登りました。

加賀FEIご担当者様03
UI/UX事業部
山口 翔 様

「最初にデータを入れただけだと、5割ぐらいの正答率でした。色々と工夫していき、徐々に8割ぐらいの正答率まで向上していきました。特に Gemini 2.0 が出てきたところでブレイクスルーがありましたが、結果的に正答率が大幅に向上し、実用レベルまで到達したことで『これは信頼して使える』という確信を得ることができました。このイテレーションとノウハウは“アイレットすごいな”と思いました。」(山口様)

「AI が認識しやすいように、煩雑だった XML 構造を JSON 形式に変換したこともうまくマッチし、データの可読性が大幅に向上しました。認識しやすい形にデータを組み替えた部分と、生成 AI のモデルの変更で認識能力が上がり、そこが合致した部分がターニングポイントとなった印象はありましたね。」(アイレット担当エンジニア)

PoC の報告会の実施が、生成 AI に対する社内の認識を大きく変える転換点に

PoC 終了後、その成果を社内に広く共有し、生成 AI 活用を全社展開につなげるため、報告会が開催されました。

「PoC の終了時に、社内の役員やプロジェクトに参加していないメンバー向けに取りまとめの報告会をアイレットに実施してもらいました。単なる最終報告書だけではなかったことが、とてもありがたかったです。」
「色々な視点を集約した資料を作成し、報告いただいたのは貴重な場となりました。社内に(生成 AI の)ファンを作るためには、良い活動となったと思います。報告会の終了後も資料を使わせてもらっていて、業務に役立っています。」(齋藤様)

また、今回の PoC の成功を受けて、2025年4月から全社的な生成 AI 専門部署が立ち上がりました。

加賀FEIご担当者様04
ソリューション推進部
齋藤 栄治 様

「PoC の報告会を役員向けに実施してもらったことで、この取り組みを社内に展開していく方針が決まりました。今回立ち上げた組織は社内横断のワーキンググループ形式で、ソリューション推進部で事務局をやっているような形になっています。まずは、色々な部署のメンバーに参加してもらい、その各部門で生成 AI を使った業務アプリを展開していこうとしています。」
「現在は、業務アプリの運用を内製化するという目標でスタートし、4部門で今回と同じようなチャットボットを、それぞれの製品に応じてカスタマイズした形で立てていこうとしています。」(西方様)

「社内だけでプロジェクトを進めていたら、多分 PoC で終わっていたかもしれないですね。まだ完璧ではないものの、今回の成功により、生成 AI が『意外と使えるじゃないか』という認識が社内に広がり、多くの部門が生成 AI 活用の可能性を実感できるようになりました。」(齋藤様)

PoC 後も続く生成 AI への取り組みの継続的なサポートを期待

「今回、社内のパイロットプロジェクトとして PoC をやろうという流れになり、本当に良い機会になったと思います。この取り組みを会社のビジネスに貢献していきたいですし、その一端が見られたということで本当にありがたく思っています。」(西方様)

「今後は、(アイレットが)アーキテクチャの相談相手になって欲しいと思っています。可能な範囲で内製化した方が良いと思っていますが、今後社内に向けて業務アプリとしてリリースするなどを考えた際に、フロントエンドをどうするかという話も挙がり、ぜひ相談させていただきたいです。」(齋藤様)

加賀FEIご担当者様

加賀FEI 様では、今回の PoC で得られた成果を基に、今後の全社展開と更なる技術向上を目指されています。今後もアイレットでは、技術力とプロジェクト推進力を活かし、お客様のニーズに寄り添った継続的な支援を提供してまいります。

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