
海外ユーザーの「分かりにくい」を解消!海外チームと協働し、グローバル対応のサービスデザインとデザインシステムを構築株式会社バンダイナムコエンターテインメント様のクラウドを活用した導入事例

掲載日:2025年8月13日
海外での利用促進を見据えたデザインシステムで、グローバル標準の UI/UX を実現
株式会社バンダイナムコエンターテインメント様(以下、バンダイナムコエンターテインメント様)は、グループ横断で活用できる顧客データの ID 基盤である「バンダイナムコID」の UI/UX 改革に取り組まれました。アイレットは、同社の海外支社との密接な協働により、グローバル標準に対応したデザインシステムの構築と継続的改善で、ユーザビリティの大幅向上を支援しています。
バンダイナムコエンターテインメント様のデザインシステム導入について、QM 室デジタルテクノロジー部クロステック課の平野様にお話を伺いました。
お客様の課題
- 長年運用してきたバンダイナムコID の UI/UX が複雑化し、ユーザビリティに課題があった。
- 海外の支社から UI/UX の分かりづらさに対する指摘があった。
- デザインの正解基準が不明確で、デザイン変更などの際の判断が困難だった。
対応と結果
- 海外チームと協働し、Figma ベースでグローバル標準のデザインシステムを構築。
- 1ページ1アクションの原則に基づき、情報を適切に分割して使いやすい UX を実現。
- 人間中心設計に基づくサービスデザインの導入で、ユーザビリティを大幅に改善。
- デザインシステムの確立により、明確な判断基準を実現し、今後の開発効率を向上。
- アナリティクス分析による継続的改善体制を構築し、作りっぱなしではない運用を実現。
複雑化した UI/UX の整理とグローバル展開の必要性
バンダイナムコIDは10年以上の歴史を持つ統合 ID 基盤として、グループ横断での顧客接点の窓口としての機能を担ってきました。顧客エンゲージメントの重要性やグローバル展開の必要性が改めて求められていく中で、バンダイナムコID の UI/UX を刷新することに。かねてよりお付き合いのあったアイレットにはデザイン・UI/UX の専門チームがあり、デザインから開発までをワンストップで対応できることが選定の要因となり、本プロジェクトが開始しました。

クロステック課
平野 勝大 様
「バンダイナムコID はインターネット上で遊べるグループ共通のプラットフォームの構想として誕生しています。当時はまだ、ガラケーが主流の時代でしたし、PC でゲームができるようになってきた時代でした。近年、お客様との直接のつながりの重要性が社内で再評価されていく中で、改めてバンダイナムコID を活用していこうという流れになりました。」
「もともとプラットフォームを構想して作っていたことや、長年の運用で UI/UX に課題が出てきており、また、海外の支社からも、普及させていく上で従来の UI だと『分かりにくい』との指摘もありました。これらの課題を解消するためには、デザインや UI/UX を新しくしていく必要がありました。」(平野様)
海外チームとの協働による Figma ベースのデザイン開発
アイレットは本プロジェクトにおいて、人間中心設計に基づくサービスデザインのプロセス(調査→分析→設計→評価)を採用し、バンダイナムコエンターテインメント様のアメリカ拠点である Bandai Namco Entertainment America(以下、BNEA)様へのヒアリング調査を実施。Figma を用いて可視化しながらグローバルチームと議論を重ね、グローバルで直感的に使いやすい UI/UX を追求していきました。
「(プロジェクトでは)BNEA のメンバーを巻き込んで、英語ベースでデザインを作り始めました。 Figma 上でコミュニケーションをとり、海外のメンバーからもコメントを入れてもらい、『気になることは全部言ってもらおう』といった気持ちで取り組んでいました。」
「デザインや UI/UX に関して、Figma を通じて BNEA の担当者と直接会話し、フィードバックを得られる環境だったことで、プロジェクト進行が格段にスムーズになりました。また、可視化されているため状況把握もしやすく、進捗管理も効率的に進みました。」(平野様)
デザインシステムで実現した判断基準確立と運用効率の向上
デザインシステムの導入により、明確な判断基準の確立と、その後の運用効率の向上を実現しました。
「(アイレットが)最終的にデザインシステムとしてまとめてくれたところが、とても助かっています。100%の正解がないデザインの世界で、『今回の正解はこれだ』と定義してもらえたことで、判断もしやすくなりました。」
「また、デザインシステムの説明もしっかりしていただいたことで、社内報告の際にも『これを正解として置いています』と断言できるようになりました。」(平野様)
欧州からの高評価と心理的負担軽減の実現
新しいデザインシステムは、特に欧州からの高い評価を獲得し、ユーザーの心理的負担軽減を実現しました。

「今回は、アメリカ(BNEA)のメンバーと一緒にプロジェクトを進めましたが、実は欧州からも『すごく良くなった』という評価をいただいています。」
「(高評価の理由として)やはり、使いやすくなったという点が大きいと思います。もともと分かりにくくなっていたものを整理し、デザイン的にも洗練され、色の使い方も良くなったと感じています。」(平野様)
アナリティクス活用による、最適化に向けた持続的な取り組みへ
バンダイナムコID の UI/UX リニューアルが高く評価されているのは、デザインシステムの構築だけが理由ではありません。例えば、利用者が少ない機能があった際、「利用登録設定が複雑で、途中で諦めてしまうユーザーが多いのでは?」という仮説を立て、運営支援している当社部門にてその原因をアナリティクスで詳細に調査・分析しました。このように、データを活用した継続的な改善への取り組みも、同様に高く評価されています。
従来の「作って終わり」ではない、データドリブンなアプローチで今後も最適化を進めていきます。
「リニューアル後の利用の傾向を見れるように、アイレットにはアナリティクスも見てもらっています。エンゲージメントが今どうなっているのかを分かるようにしてもらい、今回のリニューアルを“作りっぱなし”にしていない部分は、とても良かったと満足している点です。」
「現段階で、デザインシステムそのものに手を入れるという話は出てきてはいないものの、今後、アクセシビリティを踏まえたシステムへアップデートする可能性はあるなと思っています。」(平野様)
バンダイナムコエンターテイメント様では、グローバル展開を見据えたデザインシステムの構築により、10年以上運用してきたバンダイナムコID の抜本的な UI/UX 改革を実現しました。海外チームとの協働による、人間中心設計のアプローチを基盤としたサービスデザインの実践と、Figma ベースでの透明性の高い開発プロセスにより、ユーザビリティの大幅向上と運用効率の改善を達成しました。特に欧州からの高い評価を獲得し、今後は他プロジェクトへの展開やアクセシビリティ対応など、継続的な改善を検討しています。
アイレットは今後も、デザインシステムの構築から継続的な改善まで、グローバル企業の UI/UX 改革を総合的に支援してまいります。