IoT と生成 AI でブリの養殖 DX を目指す!産学連携プロジェクトにおける養殖現場の IoT データ収集・可視化検証ながさきBLUEエコノミー様のクラウドを活用した導入事例
https://blueco.ciugc.nagasaki-u.ac.jp
掲載日:2025年11月21日
お客様の課題
- 養殖場で得られる画像やセンサー情報(水温・溶存酸素など)を効率的に収集・活用したい
- 遠隔から現場の状況を確認できる仕組みを整え、業務効率を向上させたい
対応と結果
- 「IoTpack for Factory」を活用し、S3 に格納された画像を Amazon QuickSight 上でセキュアに表示する仕組みを構築
- IoT データの収集とアーキテクチャ設計に関する技術支援を実施し、遠隔監視と業務効率化に貢献
国立大学法人長崎大学様が地域共創活動の一環として取り組む「ながさきBLUEエコノミー」プロジェクトでは、KDDI株式会社様も参画し、共にブリ養殖の DX 推進を進めています。
本プロジェクトにおいて、アイレットは KDDI 様の技術パートナーとして、養殖現場から得られる IoT データや画像を効率的に収集・可視化するための仕組みづくりを実施しました。
水産業の未来を支える地域共創プロジェクト。養殖場の遠隔監視と業務効率化を目指す DX に挑戦
「ながさきBLUEエコノミー」は、国立大学法人長崎大学様(以下、長崎大学様)が中心となり、生産者・自治体・企業が連携して進める地域共創プロジェクト。日本の固有種であり、近年北米を中心に人気が高まっているブリは、輸出量がこの10年で約3倍に拡大。2030年には国内生産量を24万トンにまで増やし、輸出強化を図る計画が掲げられています。しかし現在、日本のブリ養殖の85〜90%は天然の稚魚を捕獲して育てる天然種苗に依存しており、環境負荷の側面から課題が指摘されています。本プロジェクトでは、天然資源に頼らず環境を汚さない、人工種苗による完全養殖を実現し、地球にやさしい「JAPAN鰤」の海外展開を目指しています。
この構想の実現に向けて、通信インフラやクラウド活用の知見を持つ KDDI株式会社様(以下、KDDI 様)が参画。同社の地域共創室が主体となって養殖業の DX を 支援しており、IoT やクラウド技術を活用した効率化・可視化の取り組みを推進しています。今回、アイレットは KDDI 様の技術パートナーとして、養殖現場の IoT データ収集と可視化基盤の構築を支援しました。
「IoTpack for Factory」を活用し、短期間で養殖場の遠隔監視とデータ化基盤を構築。生成 AI による状況判断・説明も可能に
今回は、IoT データの収集・可視化を迅速に実現するアイレットのソリューション「IoTpack for Factory」の構成を部分的に適用し、Amazon S3 に格納した画像を Amazon QuickSight で安全に表示する仕組みを構築。「IoTpack for Factory」により、AWS マネージドサービスを有効活用することで、工場 IoT システムの構築をスピーディに実現し、専門人材の確保などを最小限に抑えながら IoT の導入を実現しました。また、Amazon QuickSight には動的な画像表示の標準機能がないため、API Gateway と AWS Lambda を組み合わせ、独自の認証ロジックを実装。これにより、認証トークンを用いてセキュアに画像をダッシュボードへ反映することを可能にしました。
さらに、KDDI 様が開発を担った IoT データ収集基盤に対して、データ構造やアーキテクチャ設計のアドバイスを実施。水温・溶存酸素の推移や魚群の映像を遠隔から確認できるようになりました。また、KDDI 様が Amazon Bedrock を用いて開発した画像キャプション生成の仕組みとも連携。養殖場の画像を生成 AI が解析し、たとえば「魚は正常に泳いでいるようです」「気泡が見えるので、システムは正しく稼働していると判断できます」といったテキストを自動生成することで、遠隔から即座に状況判断できるようにしています。

ダッシュボードイメージ
今回の開発により、養殖現場から離れていても魚群の様子や環境データを把握できるようになり、過去のデータの振り返りや分析が可能となります。また、水温や溶存酸素の異常を早期に察知し、対応につなげられるため、リスク管理にも寄与しています。「IoTpack for Factory」と AWS のマネージドサービスを有効活用したことで、短期間かつ効率的にシステムを構築できた点も大きな成果です。
IoT データの収集や可視化は、水産業をはじめとするさまざまな現場で業務効率化のカギを握ります。アイレットでは「IoTpack for Factory」をベースに、AWS マネージドサービスと組み合わせた柔軟なソリューションを提供しています。今回のように、お客様のシステムに合わせた部分的な技術支援にも対応可能です。IoT やクラウドの導入を検討されている方は、ぜひお気軽にご相談ください。
システム構成図

使用プロダクト
◼︎AWS
・AWS IoT Core
・Amazon Timestream
・Amazon QuickSight
・Amazon EventBridge
・AWS Lambda
・Amazon S3
・Amazon Bedrock
・Amazon API Gateway
◼︎SORACOM
| 案件名 | IoT と生成 AI でブリの養殖 DX を目指す!産学連携プロジェクトにおける養殖現場の IoT データ収集・可視化検証 |
|---|---|
| クライアント | ながさきBLUEエコノミー様 |