製造現場の課題を音声認識と 生成 AI で解決する – 「IoTpack for Factory」ソリューションの担当エンジニアに聞いてみた
製造業のデジタル化が進む中、製造現場では
「手が汚れていて PC が操作できない」
「手袋をしていてスマホが使えない」
といった物理的な制約により、作業実績の入力やマニュアル参照が困難という課題があります。アイレットは、これまでの工場 IoT ソリューション「IoTpack for Factory」に新たに、AWS の音声認識技術と生成 AI を組み合わせた機能を追加し、こうした製造現場特有の課題解決に取り組んでいます。
今回、開発を担当する IoT エンジニアに、「IoTpack for Factory」の特長や製造現場が抱える課題について詳しく話を聞きました。
音声認識と生成 AI により、工場 IoT ソリューションで何ができるのか担当エンジニアに聞いてみた
土井田 篤
まず、製造業の現場が抱えている課題について教えてください。
製造業の現場では、手が汚れていたり、手袋をしているため PC やスマホ、タブレット端末の操作が難しいという場合があります。そのため、作業実績の入力やマニュアルの参照、過去のトラブル情報の追跡など PC の操作を伴う作業が困難なことがあります。
結果的に、資料を調べるのに時間がかかったり、手間がかかるといった非効率さが発生してしまいます。また、作業実績の記録が行えず、どの製造工程でどれくらいの工数がかかっているか正確に把握できないといった課題もあります。
ここで重要なのは、 PC やタブレット端末の操作ができないために、DX を推進する上で必要な現場のデータが取れず、生成 AI を活用して業務を改善していくという道が閉ざされてしまうことです。
「IoTpack for Factory」に 生成 AI を組み合わせたことで、どのようなことができるようになったのでしょうか。
このソリューションの特長は、音声で作業実績入力や問い合わせができるという点と、設備のマニュアルや過去のトラブル情報などの蓄積したナレッジを、生成 AI を使って自然言語で引き出すことができるという点です。
これにより、これまで対応が難しかった製造現場での作業実績の入力やマニュアル等の参照が可能になります。
具体的にはどのようなユースケースでメリットがあるのでしょうか。
例えば、製造現場で作業を行う際に、作業の開始、終了を記録することで製造工程の正確な作業時間を求めることができ、これを元に正確な製造原価の算出や生産性改善の検討材料とすることができます。
またマニュアルや過去のトラブル情報を現場で迅速に参照できるため、作業の効率化や、誤った機械操作で不良品を出すなどの作業ミスによるトラブルを防止することが可能となります。
このソリューションは、現場でPC作業が必要なものの、これが難しい環境を持つ業種、一例として、食品など衛生管理が厳しい製造現場などでは、大きなメリットが得られるかと思っています。製造業以外でも漁業の養殖現場や、危険な場所で作業する建設業、農業など、作業実績の記録やマニュアル参照といった作業が存在するため、様々な業種でのDXに活用できる可能性があると考えています。
音声で PC を操作することが可能となることで、PCを直接操作できない環境でも正確な作業実績の記録やマニュアルの参照を実現できるというところが、今回機能追加によるメリットになります。
「IoTpack for Factory」に今回追加された技術的なポイントについて教えてください。
AWS が提供する音声認識機能と生成 AI を組み合わせて、PC やタブレット端末の操作が難しい製造現場でも、お客様が作業実績の入力やマニュアル参照を迅速に行なえるようにするための機能を追加しています。
特長としては、音声認識に Amazon Lex を使っており、生成 AI は Amazon Bedrock を使っています。これに加えて、ナレッジ管理には Amazon OpenSearch Serverless、処理を加えるエージェントなどには AWS Lambda、実績を蓄積するには Amazon DynamoDB といったサービスを利用しています。
また、拡張性の面では、Amazon Bedrock のエージェント機能を使ってAWSで蓄積した生産設備のIoTデータや外部システムのデータを参照して、ユーザーに情報提供することも可能です。
「IoTpack for Factory」の導入時に想定される課題はありますか?
実際に現場のオペレーションに適合するかどうかを課題として感じられるお客様は多くいらっしゃいます。デジタル化を進めることで効果は期待できるものの、それに対応するための現場負担が発生する点を懸念されるケースがあります。
また、製造現場では製造部門の影響力が強い傾向があり、現場の方は「計画通りに製品を作ること」が最大のミッションなので、新しいシステムの導入に対して慎重になることも少なくありません。
アイレットでは、コンサルティングから導入支援まで一貫したサポートを提供しています。お客様の検討段階に応じて必要な情報を提供したり、デモ環境を構築したりしながら、ご要望に沿った支援を行なっています。デモ環境を通じて実際の動作をご確認いただくことで、お客様の中で具体的な活用イメージやアイデアが広がるケースも非常に多いです。
最後に、IoT に生成 AI を組み合わせた今回の「IoTpack for Factory」の将来的な展望について教えてください。
製造業のお客様は、生成 AI を製造業でどう活用していくかという点に非常に高い関心を持たれています。これまで製造業向けの IoT ソリューションを提供してきましたが、生成 AI の要素を入れることによって、明らかに従来よりも前向きな反応や具体的なご相談をいただく機会が増えていると感じています。
今後は、生成 AI の技術を活用して、製造現場のさらなる DX 推進に貢献していきたいと考えています。
アイレットでは、お客様の工場における IoT 化のご要望に対して、AWS を活用した最適なソリューションをご提供可能です。音声認識と生成 AI を組み合わせた新しい approach で製造現場の課題解決を検討されている方は、ぜひお気軽にお問い合わせください。
関連事例
ページ監修者
KDDI にて約30年間、法人のお客様向けシステム開発に従事。 2022年4月からアイレットへ出向。
主に製造業向け IoT システムの企画、提案、開発を行っている。
(名称は2025年12月時点)