VMware ライセンス激変!値上げへの対策と移行・クラウド化の判断軸
「更新見積もりが届いたら、絶句した」
契約データセンターから届いた VMware の更新見積もりを開いて、思わず画面を二度見した――そんな経験をしたインフラ担当者やプロジェクトリーダーが増えています。
Broadcom による VMware 買収(2023年11月)以降、ライセンス体系は大きく変わりました。「従来の倍どころか、数倍の請求が来た」という声も珍しくありません。しかし、「仕方なく更新するしかないのか」と諦める前に、立ち止まって考えてほしいのです。
この課題に対して、今、大きく3つの選択肢があります。本記事では、それぞれのメリット・デメリット・コスト感を整理したうえで、「自社はどの道を選ぶべきか」を判断するための軸をお伝えします。
なぜ、あの見積もりは「数倍」になったのか
まず、コストが跳ね上がった構造的な理由を整理しておきましょう。Broadcom は VMware 買収後、ライセンス体系を以下の3点で大きく変更しました。
① 永続ライセンスの廃止
2024年2月4日をもって、買い切り型の永続ライセンスの販売・サポート更新が終了しました(参考:Broadcom VMware 製品ライセンス変更について)。以降は1年・3年・5年のサブスクリプション契約のみとなり、費用が継続的に発生し続けます。
② CPU コア単位への課金変更
従来は物理 CPU のソケット数(1 ソケット単位)で課金されていましたが、CPU コア数単位に変更されました(参考:VMware ライセンスは何が変わった?)。多コア CPU を搭載しているサーバー環境では、ライセンス費用が一気に跳ね上がります。
③ バンドル統合による機能の強制購入
数千を超える製品ラインナップが4つのエディション(VMware Cloud Foundation〔VCF〕・VMware vSphere Foundation〔VVF〕など)に統合されました。Broadcom が定義するセグメントに応じて購入できるエディションが制約されるため、「使わない機能が含まれていても費用がかかる」状況が生まれています(参考:VMware ライセンス問題)。
この3つが重なった結果、「従来の更新費用の数倍」という見積もりが各社に届くようになっています。
今取れる「3つの選択肢」
選択肢① Broadcom サブスクリプションを受け入れる
概要:新しいサブスクリプション体系に移行し、VMware 環境を継続利用する。
メリット:
- 既存の仮想化基盤・運用フローをそのまま継続できる
- アプリケーションへの影響がほぼない
- 社内での移行工数が不要
デメリット:
- コスト増が確定する(3年ロックインで多額の支出が継続)
- コア課金・バンドル強制によって将来的なハードウェア増設もコストに影響
- ベンダーロックインがより深まる
- 今後もさらなるライセンス要件の変更や価格改定が行われるリスク(ビジネスの不確実性)を抱え続ける
TCO 感:使わない機能まで含んだバンドル費用+コア数に応じた課金が毎年発生します。特に300 〜 3,000名規模の企業でサーバー数が多い環境では、5年スパンで見ると非常に高額になるケースがあります。
向いている企業:契約満了まで時間がなく、移行の準備期間が取れない。かつ、次の更新タイミングで改めて移行を検討する意思がある企業。
選択肢② 別ハイパーバイザーへ移行する
概要:Nutanix(Nutanix Cloud Infrastructure)や Microsoft Hyper-V などへの移行、または AWS 上で Nutanix を稼働させる NC2 on AWS(Nutanix Cloud Clusters on AWS)などへの切り替え。
メリット:
- VMware への依存から脱却でき、将来的なライセンスリスクを低減
- Nutanix など競合製品は VMware 環境からの移行ツールを整備している
- オンプレミスの運用スタイルを維持しながらコストを抑えられる可能性がある
デメリット:
- 移行期間・工数がかかる(環境の複雑度によっては数ヶ月〜1年程度)
- 運用チームの再教育が必要
- ハードウェアを継続利用する場合、互換性の確認が必要
- ハードウェアの調達リスクなど外的要因があると、移行計画に影響が出る
TCO 感:移行費用(工数・ツール・検証)は一定かかりますが、長期的なライセンスコストは VMware 継続より抑えられる可能性があります。ただし、オンプレ基盤を維持する限り、HW 更新コストや DR 対策は引き続き発生します。
向いている企業:アプリ改修が困難でそのまま移設したい場合や、基幹システムとの連携が必要な場合、あるいは機密データに関する社内ポリシーなどの兼ね合いで、オンプレミス環境を維持したいが、VMware ライセンスコストの増加には対処したい企業。クラウド化に対して社内の合意が得られていない場合にも検討しやすい選択肢です。
選択肢③ クラウドネイティブ移行(AWS 等へのリホスト・リファクタ)
概要:VMware 上の仮想マシンを Amazon EC2 などのクラウドネイティブ環境へ移行する。AWS Application Migration Service(MGN)や AWS Transform for VMware などのツールを活用して、VMware 環境を丸ごとクラウドに移す手法が主流です。
メリット:
- ライセンスコストを根本から解消できる
- オンプレ HW 更新・データセンター費用・DR 対策などの隠れコストも削減できる
- クラウドの弾力性(スケールアップ・ダウン)を活用できる
- AWS クレジットの取得など、移行を支援する仕組みを活用できる場合がある
デメリット:
- 移行期間・工数が最も大きい(設計・テスト・カットオーバーに数ヶ月〜)
- クラウド運用の知見が社内に乏しい場合、体制整備が必要
- ネットワーク設計・セキュリティ要件の見直しが発生する
TCO 感:実績のある事例として、米国の生命保険会社 Penn Mutual は約 900台の VMware VM を Amazon EC2 へ移行し、移行期間を 6ヶ月短縮、AWS クレジットを取得しながらライセンスコスト削減とレガシーシステムの廃止を業務無停止で実現しました(参考:Penn Mutual case study)。5年スパンの TCO では、クラウド移行がコスト面で最も有利になるケースが多くあります。
向いている企業: 中長期的なコスト最適化・システム近代化を目指している企業。VMware 依存を根本から解消し、インフラの将来拡張性を確保したい企業。
3択を判断するためのフレームワーク
どの選択肢が「自社に合う」かを判断するには、以下の3軸で整理することをお勧めします。
| 判断軸 | 確認すること |
|---|---|
| 契約期限 | 次の更新はいつか。移行期間を確保できるか |
| システムの複雑度 | 仮想マシン数は何台か。依存関係の整理に時間がかかるか |
| 社内リソース | クラウド・移行の知見が社内にあるか。外部支援が必要か |
たとえば、「契約更新まで3ヶ月しかない」という状況ではクラウド移行の全完了は難しいかもしれません。しかし、「まず一部のシステムをクラウドに移しながら、残りは短期更新でつなぐ」というハイブリッドアプローチも現実的な選択肢です。
クラウド移行は『期間や知見』が最大のネックになりますが、だからこそ外部の専門家を頼るメリットがあります。KDDIアイレットでは、2025年7月に締結した AWS との戦略的協業のもと、最新ツールを活用してこの『期間と工数』を大幅に圧縮する高速移行を得意としています。現状アセスメントから移行計画の策定・実行まで一気通貫で支援しており、社内に知見がなくても、丸ごと安心してお任せいただけます。
まとめ:「とりあえず更新」の前に、一度立ち止まってみてください
Broadcom によるライセンス変更は、多くの企業にとって不本意なコスト増をもたらしています。しかし、その変化は「VMware 依存からの脱却を検討する良い機会」でもあります。
今すぐ更新しか選択肢がない場合:短期サブスクで時間を作り、並行して移行計画を進める
1年以上の猶予がある場合:クラウドネイティブ移行の TCO シミュレーションを早めに実施する
オンプレを維持したい場合:別ハイパーバイザーへの移行も含めた比較検討を行なう
どの選択肢も、「早く動き出した企業ほど有利」です。
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ページ監修者
ネットワーク含めたインフラ周りの移行プロジェクトにエンジニア、プロジェクトマネージャーとして多数参加。クラウド環境の構築 SE としても移行案件を多数経験。