AWS のコラム
COLUMN

Amazon Connect とは?料金体系、導入メリット、AI 活用で顧客対応を効率化

顧客からの問い合わせ対応に時間がかかり、担当者の業務負荷が増大しているという課題を抱える企業が増えています。

しかしながら、

  • コンタクトセンターの構築に多額の初期投資が必要で導入に踏み切れない
  • 従来型のシステムでは複数チャネルの一元管理が困難
  • 問い合わせ量の増減に応じたリソース調整が難しく運用コストが高い

といった悩みを抱えている企業も多いのが現状です。

一方、AWS で提供されている Amazon Connect は初期投資0円、使った分だけの従量課金制で注目されていますが、以下のような不安の声も聞かれます。

  • 「従量課金制は便利そうだが、実際に月にいくらかかるのか予測できない」
  • 「多機能すぎて、どの機能が本当に必要か判断できず、無駄なコストが発生しそう」
  • 「導入後、請求額が予想以上に膨らんだらどうしよう」

そこで本記事では、AWS パートナーとして豊富な実績を持つアイレットの知見を交え、クラウド型コンタクトセンター Amazon Connect の概要と、最新の生成 AI 評価指標に基づいた具体的な活用方法を、元の構成を活かして詳細に解説します。

Amazon Connect とは

Amazon Connect は、企業の顧客対応を効率化するためのクラウド型コンタクトセンターサービスです。このセクションでは、Amazon Connect の基本的な概念と特徴について解説します。

Amazon Connect の基本概念

Amazon Connect がどのようなサービスなのか、基本的な概念から理解していきましょう。

AWS が提供するクラウド型コンタクトセンターサービス

Amazon Connect は、AWS が提供するクラウドベースのコンタクトセンターサービスです。従来のコンタクトセンターでは、専用のハードウェアやソフトウェアを購入し、オンプレミス環境に構築する必要がありました。

これには多額の初期投資と長い導入期間が必要でした。Amazon Connect はクラウド上で動作するため、ハードウェアの購入が不要です。企業は初期投資を大幅に削減しながら、短期間でコンタクトセンターを立ち上げることができます。クラウドサービスの特性により、必要な機能を必要な時に利用できる柔軟性が実現されています。

オムニチャネル対応の顧客接点

Amazon Connect は、音声通話、チャット、SMS、ウェブ通話、ビデオ通話、Eメールなど、複数のチャネルに対応しています。顧客は自分の好むチャネルを選択して企業とコミュニケーションを取ることができます。

チャネル間で情報が共有されるため、顧客が音声通話からチャットに切り替えた場合でも、それまでのやり取りの履歴が引き継がれます。これにより、顧客は同じ内容を何度も説明する必要がなく、スムーズなコミュニケーションが可能になります。エージェント側も、どのチャネルからの問い合わせかに関わらず、統一されたインターフェースで対応できるため、業務効率が向上します。

従来型コンタクトセンターとの違い(可用性と復旧指標)

従来型のオンプレミス型と比較して、最大の強みは耐障害性です。Amazon Connect は マルチAZ(アベイラビリティゾーン)構成 を標準で採用しており、単一のデータセンター障害の影響を受けにくい設計となっています。ビジネスの継続性を左右する RTO(目標復旧時間)RPO(目標復旧時点) を最小化することが可能で、ミッションクリティカルな顧客窓口でも安心して利用できます。また、ウェブブラウザから数分でセットアップが完了する迅速性も、従来型にはない特徴です。

Amazon Connect の主な特徴

Amazon Connect が提供する主要な特徴について詳しく見ていきましょう。

AI を活用したセルフサービス機能(評価指標の確立)

Amazon Connect は生成 AI(Amazon Bedrock等)を活用したセルフサービス機能を提供しています。具体的には、製品マニュアルや FAQ を学習させた RAG(検索拡張生成)システムにより、顧客の質問に自然な回答を生成します。導入にあたっては、Ragas などのフレームワークを用いて回答の「解決性」や「有用性」を定量評価し、LLM Observability ツールでハルシネーション(もっともらしい嘘)を抑制・監視することが、品質担保の鍵となります。

エージェントの生産性を向上させるリアルタイム支援

エージェントの生産性を向上させるリアルタイム支援機能を搭載しています。エージェントが顧客と対話している最中に、AI(Amazon Connect Contact Lens)が会話内容を分析し、適切な応答例や推奨アクションをリアルタイムで提示します。これにより、経験の浅いエージェントでも質の高い対応が可能になります。また、過去の類似ケースが自動表示されるため、情報を探す時間が削減され、離職率の低下にも寄与します。

数分で構築可能な迅速な導入プロセス

大きな特徴の一つは、その迅速な導入プロセスです。ウェブブラウザからアクセスし、セルフサービスで設定を行なうことができます。通常のコンタクトセンター構築では数カ月かかる作業が、数分で完了します。問い合わせフローの設計、エージェントの追加、電話番号の取得なども、直感的なビジュアルインターフェースから簡単に実行できます。

従量課金制による柔軟なコスト管理

Amazon Connect は従量課金制を採用しており、前払いや長期契約、最低月額料金は不要です。検証環境(シングルAZ)でコストを抑えつつ開発を行い、本番環境(マルチAZ)で可用性を高めるといった、フェーズに応じたリソース調整が容易です。繁忙期にのみリソースを拡張し、閑散期にはコストを最小限に抑えることができるため、企業の財務負担が大幅に軽減されます。

Amazon Connect で実現できること

顧客対応の効率化

Amazon Connect は、顧客対応業務を効率化するための多彩な機能を提供しています。

複数チャネルからの問い合わせを一元管理

顧客は電話、チャット、Eメールなど、さまざまなチャネルから問い合わせを行ないます。これらすべてを一元管理し、エージェントは単一のダッシュボードで対応可能です。顧客情報や過去のやり取りの履歴もチャネルをまたいで共有されるため、一貫した対応が可能となり、運用の複雑さが軽減されます。

AI チャットボットによる自動対応と RAG システムの活用

AI チャットボット(Amazon Lex 等)を導入することで、定型的な問い合わせを自動化できます。RAG システムを活用することで、ユーザーの質問に対し、ナレッジベースから関連情報を検索し、その根拠となるデータソースへのリンクと共に自然で精度の高い回答を生成します。これにより、人手を介さない「自己解決」の比率が飛躍的に高まります。

エージェントへの適切な情報提供と支援

エージェントが必要な情報を素早く見つけられるよう、顧客の問い合わせ内容に応じて関連する FAQ や製品情報が自動的に表示されます。AI が提案する応答例を参考にすることで、対応時間が短縮され、顧客満足度の向上とエージェントの業務負荷軽減の両方が実現されます。

チャットボットの会話履歴管理と品質向上

ユーザーとチャットボットの会話履歴をデータベースに保存し、分析可能なダッシュボードを作成することで、回答の誤答や不足を確認できます。どのような質問に答えられていないかを分析し、ナレッジベースを継続的に改善することで、顧客満足度を維持しながら業務効率化を実現できます。

リアルタイムのパフォーマンス測定と改善

データドリブンな運用最適化

問い合わせ件数、応答時間、解決率など、多岐にわたる指標をリアルタイムで可視化できます。これらのデータに基づき、どの時間帯に人員を配置すべきか、どのフローにボトルネックがあるかを客観的に把握し、データドリブンな意思決定を可能にします。

エージェントのパフォーマンス可視化

個々のエージェントの対応件数や顧客満足度スコアを確認できます。パフォーマンスが優れた対応を教育に活用したり、サポートが必要なエージェントへ早期にトレーニングを提供したりすることで、チーム全体のスキルアップを図ります。

継続的な改善サイクルの確立

リアルタイム分析機能により、改善アクションの効果を迅速に確認できます。問い合わせフローを変更した際の影響も即座にデータとして表れるため、PDCA サイクルを高速に回し、顧客満足度の向上とコスト削減を同時に追求できます。

スケーラビリティとマネージドサービスの活用

問い合わせ量の増減に応じた自動スケーリング

キャンペーン等で急激に問い合わせが増加しても、システムが自動的にリソースをスケールアップします。追加のサーバー設定や機器購入は不要です。逆に閑散期には自動で縮小し、無駄なコストを発生させません。

サーバー管理不要による運用負荷の削減

マネージドサービスであるため、OS のパッチ適用やインフラの保守は AWS が担当します。IT 部門は、インフラの維持管理ではなく、顧客対応の改善や新しいビジネス機能の開発といった、より戦略的な業務に集中できます。

マネージドサービスによるコスト最適化

サーバーの管理や保守に必要な人件費を削減しつつ、自動スケーリングによりアクセス増加時でも安定したサービス提供が可能です。コストの予測がしやすくなり、財務計画の精度が向上します。

Amazon Connect の導入メリット

コスト削減効果

初期投資の削減

ハードウェアの購入が不要なため、数百万円から数千万円規模の初期投資を大幅に削減できます。スタートアップや中小企業にとっても参入障壁が低くなる重要な要素です。

運用コストの最適化とサーバーレスアーキテクチャ

サーバーレスアーキテクチャの採用により、保守費用や運用人件費が削減されます。マネージドサービスをフル活用することで、障害対応や緊急メンテナンスの頻度が激減し、安定した運用が可能になります。

従量課金によるコスト予測の容易化

固定費ではなく変動費として扱えるため、ビジネスの状況に応じたコスト調整が容易です。利用状況を可視化することで、どの部分をさらに最適化すべきかの方針を立てやすくなります。

業務効率化の実現

迅速な導入による早期効果実現

数日で基本的な機能を利用開始できるため、早期に顧客対応の課題を解決できます。小さく始めて、効果を見ながら段階的に機能拡張するアプローチが取れます。

AI と RAG システムによる「3割の工数削減」実績

アイレットが支援した事例(株式会社36flip様)では、生成 AI(Amazon Bedrock)を活用した業務サポートにより、お問い合わせ対応業務の約3割削減を実現しています。担当者は定型業務から解放され、より付加価値の高い業務に注力できるようになりました。

エージェント業務の効率化と工数削減

リアルタイムの情報提供と AI 支援により、1件あたりの対応時間が短縮されます。同じ人数のエージェントでより多くの問い合わせを捌けるようになり、業務満足度の向上にもつながります。

顧客体験の向上

複数チャネルでのシームレスな対応

チャネルをまたいだ情報共有により、顧客が途中で連絡手段を変えても一貫した対応を提供できます。この一貫性が、企業への信頼感と顧客満足度を高めます。

待ち時間の短縮と即時対応

AI による自動対応は 24時間365日の稼働を可能にします。夜間や休日の問い合わせにも即座に回答が得られるため、顧客のストレスが大幅に軽減されます。

一貫性のある顧客対応と満足度向上

すべてのエージェントが同じ情報と AI 支援を受けられるため、対応品質のばらつきが減少します。リピート率の向上やロイヤルティの強化に直結する、高品質なサービスを安定提供できます。

Amazon Connect の導入と活用

導入プロセスと必要なリソース

ウェブブラウザからのセルフサービスセットアップ

AWS コンソールからインスタンスを作成し、ビジュアルエディタで問い合わせフローを設計します。コーディング不要でドラッグ&ドロップによる設定が可能です。変更もリアルタイムで反映されます。

導入に必要な期間と人材

シンプルなフローであれば数時間から数日で運用開始可能です。AWS の基礎知識を持つ担当者が数名いれば十分ですが、アイレットのような AWS パートナーを活用することで、より確実な設計・構築が可能です。

既存システムとの連携方法と API 活用

API を通じて CRM システム等と連携できます。顧客情報を画面に自動表示したり、対応履歴を自動記録したりすることで、部門間での情報共有が促進され、柔軟なワークフローを構築できます。

Web クローリングとナレッジベースの構築

ヘルプページや FAQ を Web クローリングしてナレッジベースに同期することで、生成 AI が常に最新の情報に基づいた回答を提示する環境を整えます。

運用体制と保守

マネージドサービスによる運用負荷の軽減

インフラ保守は AWS が担当するため、企業は顧客対応の改善に専念できます。セキュリティアップデートも自動で行なわれ、運用担当者の負担が大幅に軽減されます。

継続的な最適化の方法

リアルタイム分析データを基に、よくある質問を自動化したり、エージェントのトレーニング内容を見直したりと、小さな改善を積み重ねることで成果を最大化します。

外部サポートの活用と内製化の判断

初期設計はアイレットのような外部パートナーの支援を受け、運用が安定した後に段階的に内製化を進めることで、コストと品質のバランスを保つことが有効です。

セキュリティとコンプライアンス

顧客情報の保護(専用線+VPN の多層防御)

Amazon Connect は通信の暗号化を標準提供していますが、さらに強固な対策として AWS Direct Connect(専用線)と VPN を組み合わせ、インターネットを経由しない閉域網内での通信保護が可能です。

AWS のセキュリティ対策と VDI 活用

物理的セキュリティは AWS が担保します。また、在宅エージェントが業務を行う場合には、Amazon WorkSpaces(VDI) を経由してアクセスさせることで、手元の端末に顧客データを残さない、物理的な漏洩防止策を講じることができます。

コンプライアンス対応

金融・医療業界等の厳格な規制にも対応しています。データの保管場所の選択や、通話録音・ログの保持により、監査要件を確実に満たすことができます。

最後に

Amazon Connect は、クラウドと AI の力を融合させ、企業の顧客対応を大きく変革します。アイレットでは、導入から運用、最新の生成 AI 活用までトータルで支援しています。まずはお問い合わせ対応を3割削減した導入事例を参考に、貴社の課題解決の第一歩を踏み出してみませんか。