生成 AI のコラム
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Amazon Bedrock 料金ガイド|モデル別価格比較とコスト最適化の秘訣

生成 AI の導入を検討する企業が急増する中、最も多く寄せられる質問が「コストはどれくらいかかるのか」というものです。従来の AI サービスと異なり、生成 AI は使用量に応じて大きくコストが変動するため、事前の見積もりが難しいという課題があります。

Amazon Bedrock は、初期投資ゼロ、従量課金制で始められる生成 AI サービスです。Claude や Titan などのモデルを選択でき、トークンあたり数セントから利用可能。しかし、モデル選択やプロンプト設計を誤ると、想定の数倍のコストがかかってしまうケースも。

本記事では、料金体系の仕組みから、モデル別の価格比較、実践的なコスト最適化の方法、見積もりと管理まで、詳しく解説します。

Amazon Bedrock の料金体系

Amazon Bedrock の料金は、使用量に応じて課金される従量課金制(オンデマンド料金)が基本です。サーバーの管理や大規模な初期投資は不要なフルマネージドサービスとして提供されています。

参照:Amazon Bedrock pricing

トークンベースの課金

Bedrock の料金は、処理した「トークン」の数に基づいて計算されます。

  • 入力トークン: プロンプト(指示文)の量に応じて課金。
  • 出力トークン: モデルが生成した回答の量に応じて課金。

通常、出力トークンの単価は入力トークンよりも高く設定されています。これは生成プロセスにおいて、より多くの計算リソースが必要となるためです。

可用性と信頼性(RTO/RPO の定義)

コストを検討する際、あわせてシステムの信頼性設計も重要です。 Amazon Bedrock は AWS のマルチAZ構成を活用した高い耐障害性を備えています。本番環境の構築に際しては、業務継続のための RTO(目標復旧時間) および RPO(目標復旧時点) を定義してください。これにより、コストと可用性のバランスが取れた適切なリソース配置(検証環境のシングルAZ化によるコスト抑制など)が可能になります。

モデル別の料金と特徴

Amazon Bedrock では、使用するモデルによってトークンあたりの単価が異なります。以下は米国東部リージョンの代表的な料金例です。リージョンによって料金が異なる場合があるため、実際の利用リージョンでの最新料金を AWS 公式料金ページで確認してください。

Claude (Anthropic) の料金

Claude は高度な推論能力が特徴で、複数のバージョンが提供されています。

  • Claude 3.7 Sonnet / Claude 4 (Sonnet class)::2026年現在の標準モデルです。
  • Claude 3.5 Sonnet: 延長アクセス期間(2026年4月終了予定)に入っており、移行計画を含めた検討が推奨されます。(入力: $6.00 / 100万トークン)。
  • Claude 3 Haiku:非常に高速かつ低コストで、シンプルなタスクに適しています(入力: $0.25 / 100万トークン)。

Amazon Titan の料金

Amazon が開発したモデル群です。テキスト生成(Text)だけでなく、RAG(検索拡張生成)に不可欠な「埋め込み(Embeddings)」や、画像生成(Image Generator)を提供します。

  • Titan Text G1 - Lite: コスト効率に優れた軽量モデル(入力: $0.03 / 100万トークン、出力: $0.40 / 100万トークン)。
  • Titan Text G1 - Express: バランスの取れたパフォーマンス(入力: $0.80 / 100万トークン、出力: $1.60 / 100万トークン)。
  • Titan Embeddings G1 - Text: テキストの埋め込み生成($0.10 / 100万トークン)。RAG システムに最適です。
  • Titan Image Generator G1: 画像生成($0.008 / 枚)。高品質な画像を低コストで生成できます。

評価指標の策定(Ragas 等の活用)

モデルの「コストパフォーマンス」を判断するには、単なる価格比較ではなく、回答の質を客観的に評価する必要があります。

参照:Ragas 公式サイト

単に「精度」を見るのではなく、解決性、有用性、関連性 といった具体的な指標を用い、Ragas などの評価フレームワークを活用して、各モデルの投資対効果(ROI)を定量的に測定することを推奨します。また、LLM Observability ツールを併用することで、プロンプトの品質やモデルのパフォーマンスを継続的に監視し、改善サイクルを確立できます。

機能別の料金

Knowledge Bases for Amazon Bedrock(RAG 機能)

自社データを活用した回答生成を行う場合、以下の料金が発生します。

参照:Amazon Bedrock ナレッジベース

  • インデックス作成: $0.10 / 1,000チャンク。ドキュメントをナレッジベースに追加・更新する際の課金です。1チャンクは約300トークン(約200文字)が目安となります。
  • 検索クエリ: $0.10 / 1,000クエリ。ナレッジベースから情報を検索する際の課金です。
  • ベクトルストレージ: $0.023 / GB / 月。Amazon OpenSearch Serverless 等のストレージ料金です。10ページの文書で約50〜100チャンク程度が目安となります。

Agents for Amazon Bedrock(エージェント機能)

自律的にタスクを実行するエージェント機能では、基盤モデルのトークン料金に加え、2026年より導入された AgentCore 体系に基づき、実行中の vCPU($0.0895/時)およびメモリ($0.00945/GB時)、ならびにゲートウェイ呼び出し($0.005/1,000回)に基づく消費ベース課金となります。エージェントはタスクをサブタスクに分解して逐次実行するため、通常の API 呼び出しよりもトークン消費量が多くなる傾向にあります。

参照:Amazon Bedrock エージェント

参考として、カスタマーサポートエージェント(月間1,000件の問い合わせ、平均3往復、Claude 3.5 Sonnet 使用)の場合、月額約 $22(約3,000円)、1件あたり約3円程度が目安となります。

セキュリティと多層防御による信頼性確保

コストを最適化しつつ、エンタープライズレベルのセキュリティを確保することが不可欠です。

データの保護とネットワークセキュリティ

入力されたデータや生成された回答は、基盤モデルの学習に使用されることはありません。

さらに安全性を高めるため、社内ネットワークからアクセスする場合は、AWS Direct Connect と VPN を組み合わせた多層防御 を構築し、インターネットを経由しない閉域網内でさらに暗号化を行うことを推奨します。また、AWS WAFAmazon CloudFront による DDoS 対策やオリジン保護も併せて検討することで、より堅牢なセキュリティを実現できます。

また、物理的な漏洩対策として、開発者やオペレーターの作業環境における VDI(仮想デスクトップ) の利用や、データのローカル保存禁止といった運用ルールを適用することで、堅牢なデータ保護を実現します。さらに、Amazon CloudWatch LogsVPC Flow Logs によるログ監視により、異常なアクセスパターンを早期に検知できます。

コスト最適化のベストプラクティス

  1. 適切なモデル選択: 高度な推論が不要なタスク(分類や単純な要約)には、軽量モデル(Claude 3 Haiku 等)を選択してコストを最適化します。
  2. プロンプトの最適化: 簡潔で効率的な指示文により、入力トークン数を削減します。
  3. モニタリングと予算管理: Amazon CloudWatch で使用量を監視し、AWS Budgets で予算アラートを設定することで、予想外のコスト増大を防ぎます。
  4. 検証環境の最適化: 開発・検証フェーズでは、シングルAZ構成の検討や低価格モデルを積極的に活用し、適切なリソース設計により無駄な消費を抑えます。

料金シミュレーション例

具体的な利用シーンでの月額料金をシミュレーションします($1=150円換算)。

利用シーン 構成内訳 月額合計(目安)
1. 小規模チャットボット
(月間1,000問い合わせ)
モデル: Claude 3 Haiku
入力: 0.5M トークン ($0.13)
出力: 0.3M トークン ($0.38)
約 $0.51
(約 77 円)
2. 中規模 RAG システム
(月間10,000問い合わせ)
モデル: Claude 3.5 Sonnet (延長アクセス)
入力: 10M トークン ($60.00)
出力: 5M トークン ($150.00)
KB利用料: $1.02
約 $211.02
(約 31,650 円)
3. 大規模エージェント
(月間50,000タスク実行)
モデル: Claude 3.5 Sonnet (延長アクセス)
入力: 125M トークン ($750.00)
出力: 75M トークン ($1,800.00)
AgentCore + KB検索費用等: 約 $35.23
約 $2,585.23
(約 387,800 円)

これらの試算により、利用規模に応じた料金の目安を把握できます。

最後に

Amazon Bedrock の料金は、初期費用なしで最新の生成 AI をビジネスに導入できる柔軟な体系です。モデル別の料金体系を理解し、Claude は高度な推論が必要な場面に、Titan は軽量なタスクやコスト重視の場面に使い分けることで、最適なコストパフォーマンスを実現できます。

Knowledge Base や Agents などの機能別料金も明確で、RAG システムやエージェント機能の導入コストを事前に見積もることが可能です。RTO/RPO に基づく適切なインフラ設計と、多層防御によるセキュリティ確保、そして Ragas 等を用いた客観的な評価を組み合わせることで、安全かつ効果的な AI 活用が実現します。

アイレットでは、Amazon Bedrock の導入からコスト最適化の設計、VPN/Direct Connect によるセキュアなネットワーク構築まで、トータルでサポートいたします。
まずは AWS Pricing Calculator による概算見積もりから始めてみませんか?

お困りごとがございましたら、ぜひお気軽にご相談ください。