導入事例
CASESTUDY

株式会社シンカ様のクラウドを活用した導入事例

おもてなし電話『シンカCTI』(和食・居酒屋花びし)

https://www.thinca.co.jp/service/cti/

おもてなし電話『シンカCTI』(和食・居酒屋花びし)

掲載日:2016年1月20日

SORACOM AirとIoTpackによる閉域網が飲食店の"おもてなし"に活路を拓いた

おもてなし電話『シンカCTI』は、電話の着信時にパソコンやタブレット、スマートフォンにお客様の様々な情報を表示するサービスです。社内で着信・顧客情報を共有することで業務効率が向上し、電話対応の負担を削減、さらに適切な応対による顧客満足度アップも期待できます。

『シンカCTI』を利用するにあたり専用のCTIアダプタに光回線を接続し、電話ジャックと電話機の間に設置する必要があります。今回導入に至った市ヶ谷駅前にある『和食・居酒屋花びし』ではビルの構造の問題で光回線を引くことができないという課題がありましたが、CTIアダプタにSORACOM Airを導入することで、インターネット接続を可能にしました。また、IoTpackをご活用いただきCTIサーバーをAWS上で構築してSORACOMとシンカ様のAWS環境をAmazon VPC Peeringで接続し、独自の閉域網で安心して顧客情報を通信を可能にした環境を実現いたしました。

構成図

導入までの背景

『和食・居酒屋花びし』

有限会社勝馬 代表取締役社長 『和食・居酒屋花びし』オーナー 宮川壮介氏
有限会社勝馬 代表取締役社長
『和食・居酒屋花びし』オーナー
宮川壮介氏

飲食店経営のコンサルティングサービスを提供する有限会社勝馬にとって、市ヶ谷駅前にある『和食・居酒屋花びし』は、同社が提供するバリューの実践店舗だ。和食中心のメニューは、旬の食材はもちろん産地や調理までこだわり、高級料亭クオリティの料理をリーズナブルな価格で提供している。そのため顧客満足度が高く、リピーターも多い。

花びしの経営者、宮川壮介氏は、2015年7月に開催された飲食店向けのセミナーに参加した際に、電話による予約など、来店前のサービスも重要であることに気がついた。

「予約のお電話は、仕込み中の時間でも、営業時間中でも、定休日でも夜間でも、お客様のご都合でかかってきます。誰からかかってくるのかわかりません。来店される前のお客様に気持ちの良い対応をするのは難しい。相手がどんなお得意様でも、気がつくのには時間がかかりますし、たまたま予約の電話を取ったのが新人だから気がつかなかった、なんて言い訳にもなりません」

1年間で1万円を使ってくださるお客様と、100万円を使ってくださるお客様がいらしたとして、同じ電話応対でいいわけがない、と宮川氏は語る。お得意様には予約の段階から、すべてのスタッフが最高のサービスができる手段が必要だという。

「参加したセミナーで『シンカCTI』の存在を知りました。お店にお越しいただく前からの”おもてなし”を提供できる電話ソリューションとの出会いでした」

おもてなし電話『シンカCTI』

おもてなし電話『シンカCTI』は、株式会社シンカが提供する中小企業や個人事業主の店舗向けのクラウド型CTI(ComputerTelephonyIntegration)サービスだ。電話着信時に顧客情報(名前、住所、購入履歴など)や着信回数が、手元のタブレットやPCに表示される。一般的にCTIシステムは、コールセンターのオペレーターが利用するとても高価なシステムだが、シンカは個人事業主の店舗に導入しやすい価格で提供している。

シンカCTIの導入はシンプルだ。店舗まで敷かれた電話回線のジャックと電話機の間に専用のCTIアダプタを設置するだけだ。着信と同時にCTIアダプタを経由して、クラウド上のCTIサーバーに着信情報を転送し、インターネットを経由してタブレットやPCに顧客情報を表示するという仕組みだ。過去の購入履歴や前回の予約内容、担当するスタッフなどの情報が瞬時に表示されるため、電話を取ったスタッフがたとえ新人であっても、その対応に自信が持てるようになるという。

SORACOM Airを活用

株式会社シンカ 代表取締役社長<br />
江尻高宏氏
株式会社シンカ 代表取締役社長
江尻高宏氏

2015年9月、花びしのシンカCTIの導入が決定したが、ネットワーク環境の調査で深刻な問題が発覚した。シンカCTIアダプタは、通信の安定性確保のために光回線をつなぐ設計をしている。花びしが入居するビルには光回線が収容されていたが、不運なことにビル内の配管構造から、花びしまで光回線が届かないことが判明したのだ。

時を同じくして、ソラコム株式会社からIoT向けモバイルデータ通信プラットフォームとして、SORACOM AirとSORACOM Beamが発表された。シンカの代表取締役社長江尻高宏氏はソラコム社の発表を知り、すぐにシンカCTIアダプタへの活用へと舵を切った。

「SORACOM Airの発表は、弊社のおもてなし電話にとって福音をもたらしました。花びし様のように光回線が店舗まで届かないケースもそうですが、他にも交換機とCTIアダプタ間のLANケーブルが届かないケース、無線LANを使ったら通信が不安定で困ったケースなど、店舗内の通信環境は課題になることが多かったのです。また、CTIアダプタは現地にスタッフが訪問して設置する必要がありました。SORACOM Airの活用は、CTIアダプタとCTIサーバー間の通信をシンプルにすると同時に、設定済みの装置をお届けするだけで設置が完了できるようになります。これまでの課題を解決できると、すぐにSORACOMの検証を開始しました」

CTIアダプタにSORACOM AirのSIMを装着し、MVNO通信網を通じてCTIサーバーに接続する方式に切り替えてみた。SORACOM Airの導入は驚くほど簡単で、通信品質も申し分なかったという。

セキュアで瞬時につながる通信が要件

「シンカのおもてなし電話は、着信から情報表示までの体感的なスピードが非常に重要です。着信とほぼ同時にタブレットやPCに顧客情報を表示させる必要があります」と江尻氏は言う。

IoTプラットフォームSORACOMにも、SORACOM Beamという暗号化を担保するデータ送信サービスがある。SORACOM Beamを利用した場合、CTIアダプタは、ソラコムの3G/LTE閉域網を通じてエンドポイントとなるCTIサーバーまで、暗号化された通信経路でデータが送信される。

しかし、この方法では、おもてなし電話を着信と同時に瞬時に表示させるには至らなかった。江尻氏は、暗号化処理などセキュリティを担保しながら、スピードを確保する方法を模索し、試行錯誤の日々が続いた。

IoTデバイスとAWSの接続方法

IoTpackで『暗号化不要』な閉域網を構成

パフォーマンスを確保するためにセキュリティレベルを落としていいということにはならない、と江尻氏は考えていた。そこで着目したのがcloudpackが提供するIoTpackだ。データ送信ごとに暗号化するのではなく、ネットワーク自体を閉域網にすることによりセキュリティを担保するという発想だ。

IoTpackは、SORACOM Airを利用するIoTデバイス向けに、AWSクラウドで構成される閉域網の中で通信を可能にするプラットフォームだ。IoTデバイスは、インターネットに接続されることを前提にしているため、インターネット向けのセキュリティ対策が必要となるケースが多い。IoTpackでは、AWS上にあるSORACOM Airの環境と別のAWS環境をピアリング(相互接続)することで閉域網を構成する。インターネットを経由しないため、社内LAN内にIoTデバイスがつながるかの如く、安全・安心なデータ通信を実現することが可能になるのだ。

江尻氏は、CTIアダプタを広義のIoTデバイスであると捉え、同じSORACOM Airを装着したデバイスであれば、IoTpackはセキュアな通信を実現する手段として、自社のサービスに活用できると考えたのだ。

「IoTpackで閉域網にしたおかげで、CTIアダプタとAWSクラウド上のCTIサーバーの通信に暗号化が不要になりました。その結果、遅延を1秒未満に抑えることができ、パフォーマンスの問題が解決しました。そのおかげで2015年12月に、おもてなし電話を花びし様に無事に導入することができました。花びし様の従業員の皆さんからも好評です」

同じシステム構成で、他にも動物病院や繊維品製造の企業などへの導入も決まったという。江尻氏は、おもてなし電話のさらなる導入に期待をふくらませる。

IoT/M2M機器をお持ちで「セキュアな通信を実現したい」、「センシングデータの収集・保管・分析を実施したい」などお考えのお客さまや、サービスの詳細やご相談などをご希望の場合は以下よりご連絡をください。

使用しているサービス

案件名 おもてなし電話『シンカCTI』(和食・居酒屋花びし)
クライアント 株式会社シンカ様
cloudpackサービス IoTpack
請求代行サービス

関連カテゴリー

お気軽にご相談ください。